1.僕のお気に入りのハルストレム監督の新作。しかし、考えてみたらこの監督のバリバリの恋愛映画って珍しいな、という思いもありました。
ラブストーリーを作品の軸に据えながらも、主人公の陸軍特殊部隊に所属する青年と自閉症を抱える父の親子愛のドラマが印象に残る作品でした。この父子が登場する最初のシーン。薄暗い部屋でコインを眺める父をガラス越しに複雑な表情で見つめる息子。微妙な距離感を感じるシーンです。その事情は少しずつ語られますが、このコインがこの父子の絆の象徴だったんですね。
本作には色々な手紙が登場しますが、息子が父への最後の手紙を読むシーンが感動的でした。ここで戦場で意識が薄れいく息子の冒頭の姿が思い出されます。(と同時に邦題はコレでよかったのかな?という思いも・・・)僕の好きなハルストレム監督作品は「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」「サイダーハウス・ルール」「ギルバート・グレイプ」といった作品です。いずれも色々な事情を抱える少年や青年の成長を描いた作品。やはり本作も軸であるはずのラブストーリーよりも主人公の若者と父のドラマが印象に残りました。
しかし、すっかり売れっ子になったアマンダ、本作でも彼女の爽やかな魅力がよく出ています。「マンマ・ミーア」でも感じましたが海辺や潮風が似合うし、歌も上手ですね。そして9.11に人生を翻弄された人の姿がここにもありました。