1.《ネタバレ》 主演の女優さんを、どこかで見たことがあるなぁ・・・と思っていたら、時代は異なるが、司葉子の若い頃にそっくりだ。
それはそれとして、香港恋愛映画の良さがタップリと染み出した逸品であった。
確実に女性の為の映画であると、私は勝手に思ったが、実際はどうなんだろう。
話があまりにストレート過ぎて、日本で作るのは難しい、というか現実的に日本では作られないであろう内容だ。
若い頃、街では有名なほど美人で優雅だった40代の主婦が、カリスマ理容師を愛してしまうという内容。
彼女は、その理容室に10年間も通い続けた。
年齢差はかなりあるが、理容師の方も、彼女のことを憧れの存在として、好意を持っていた。
だが彼女には、夫はもちろん娘もいた。
なのに、家族を捨てて、理容師の元へはしってしまう。
これをいとも簡単にやってしまうから、男の私としては存分に引いてしまった。
何不自由なく育った彼女は、稼ぎの悪い夫との生活に嫌気がさしてしまったのだ。
でもなぁ・・・いくら嫌気がさしたからって、泣いてる子供をよそに、あっさり逃げるから凄い。
いや正確には、逃げたことが凄いんじゃなくて、家族を捨てて若い男の所に走るという女性の行為を、何ら悪びれることなく、肯定的にあっさり描いている本作の視点が強烈だった。
その後彼女は、若い理容師とはうまくいかなかったが、実業家として成功し、幸せな笑みを満面に浮かべて上海の街を闊歩し、エンディング。
家族を捨てて若い男にぞっこん、そして仕事に生きて活き活き。
こんな流れを爽やかに、何ら否定的な部分もなく、最後まで描ききった内容に唖然。
だが、一種、その価値観というか、ある女性の生き方の方向性が明確に描かれているので、これはこれで一つの映画として完成している。
上海の街を活き活きと闊歩する主人公の女性。
その時流れる、アップテンポで幸せに溢れたエンディングソング。
この映像と音楽の取り合わせが圧巻のラスト。
このラストは、自分のやりたい事を貫き、ふっきれた女性の生き方を描いた本作の内容を、これ以上なく象徴していた。
男の私からしたら思いっきり引いてしまう内容であるにも関わらず、この爽やか過ぎるラストは、極めて爽やかだった。