2.《ネタバレ》 劇中でも何度も言及されていますが、本作のモチーフはアメリカの小説家ナサニエル・ホーソーンの名作『緋文字』です。ホーソーン自身は魔女狩りが起こったことで悪名高いセイラムの出身であり、『緋文字』には彼が抱えていたピューリタニズムへの批判がありありと見て取れるのです。
だから本作を理解するには根底にキリスト教の存在が色濃くあることに気付かなくてはいけません。そうでなくてはラブコメとしては凡庸であるし、イジメを描いた物語としては悲劇性はそれほど強くないし、青春映画としてもそれ程傑出した内容と言わざるを得ないでしょう。
姦通は果たして罪であるかどうか?噂が伝播しそれを糾弾する生徒たち。その根っ子にいるエヴァンジェリストたち。彼らたちが神を賛美する歌を歌いながら燥いだり、悪魔のマスコットを排他すべき対象としていることは何も冗談ではありません。アメリカには実際にああいう人たちがいます。ゲイの男の子が苛められているというのもここに真の理由がある。劇中で生徒会長の一派が「我々がどれだけ祈りを捧げても、ゲイやアバズレは罪を重ねるのよ」と言っているのですから。結構軽い学園コメディにこういう要素を入れるセンスには脱帽です。
演出面では、コメディとしてもパーティーでヤッてる振りをする場面を筆頭に中々楽しかったです。終盤に出てくるミスリードにもまんまと私は嵌ってしまって上手いなあと思いました。
個人的にちょっと残念なのは、エマ・ストーンがとっても可愛いとはいえ、矢張りファーストカットの時点でとても地味子に見えないことです。この映画は矢鱈と『ブレックファスト・クラブ』にオマージュを捧げているシーンが多いと思ったのですが、それなら同作で地味子を演じたアリー・シーディ位のビジュアルで登場してから、変身して欲しかったですね。まあエマ・ストーンは魅力的に映っているし別に良いと言えば良いのですが。ちょっと気になりました。 ああ、言うまでもないですが邦題のセンスは0点。別に小悪魔でもなければ、モテている訳でもない。