4.《ネタバレ》 ジャケットの中央に立ついかにもな“ナチ女”のキャラクターが、実際は意外に純真なヒロインだったことは、残念でもあり、キュートでもあった。
月の裏側からナチスの残党が挙党を組んで地球に攻めてくる!という何とも馬鹿馬鹿しいSF映画。
そのイントロダクションの馬鹿馬鹿しさの逆を突いて、展開自体は意外に大真面目なものが繰り広げられるのかと想定していたのだが、それもハズれ、想定以上に序盤から馬鹿ネタ満載の世界観にちょっと引いてしまったことは否めない。
しかし、最終的にはその馬鹿展開を押し通しつつも、強烈な社会風刺もとい“地球風刺”を絡ませ、なかなか独特な映画世界を構築してみせていると思う。
要は、この世界において恐ろしいものは「無知」であり、さらに恐ろしいものは「馬鹿」であるということ。
そして、無知で馬鹿なのは、時代錯誤に攻め入ってきた“地球外ナチス”ではなく、現在の地球人そのものであるという皮肉。
映画のラスト、月の裏側に取り残された主人公たちは、何も知らない人々に対しての教育に途方に暮れつつも、一抹の希望を感じている。
その一方で、「馬鹿」の極みに至ってしまった地球人たちは、地球外からの侵攻等関係なく勝手に滅んでいく。
馬鹿は死ななきゃ治らない……いや、この場合「馬鹿は滅ばなきゃ治らない」ということか。