1.《ネタバレ》 五輪開催地決定が列島を賑わせる中、TOKYO,JAPANにウルヴァリンがやってきた。日本フィーチャーのハリウッド映画には、ステレオタイプなヘンテコ描写が多数確認できるのがお約束だが、本作も例に漏れず。ニンジャ、サムライ、シンカンセン、ヤクザ、サヨナラ、ラブホテルとてんこ盛り状態。なんでヤクザが新幹線の上で闘ってんだよ!とか、東京-長崎間すげー身近だなオイっ!とかツッコミ所は多々。まぁそこはスルーで。
監督のジェームズ・マンゴールドだが、本当に色々なジャンルに手を出している人。今回も非常に丁寧な演出で、ウルヴァリンの葛藤のドラマを、大作の中にそつなく落とし込めている。
しかし気になるのがシルバーサムライの中の人、つまり黒幕の存在。ヤシダは日本人の精神を投影したキャラクタのままにしておいて、最後のボスは、ベタに真田さんで良かったのではないか。律儀な善人のヤシダが、実は悪いヤツという落差から驚きが生じるのだろうが、素直な驚きというよりかは、残念な驚きだった。まぁ、伏線を張っているので、禁じ手とまでは言わないが。
盛り上げ方で言えば、ラストまで能力復活はタメておき、敗戦濃厚になってからの復活、そしてウルヴァリン無双の方がベタながら盛り上がっただろう。また、能力の失くし方については、自ら失うことを選び、その後大切な人を守るために再び力を使うというやり方もある。本作はベタな所とは少し遠ざけてアプローチが成されており、その冒険は評価できるが、最大限に興奮できるカタルシスを用意して欲しいとも思う。
しかしながら全体を通して丁寧な印象であり、「X-MEN」らしいアクションシークエンスも用意されているので結構楽しんで鑑賞できた。ヒュー・ジャックマンのカッコよさには惚れ惚れする。
余談ですが、終始お喋りし続ける20代(自分よりは年上だろう)くらいのカップルがいました。原爆投下のシーンでも彼らのお喋りが丸聞こえだったのですが、夢から覚めたウルヴァリンが、ナガサキの夢を見たと答えた後、「あっ、今のナガサキだったんだー。」「そーなんだねー。」とのこと。正直驚きました。時代の流れでしょうか。ハリウッドのニッポンと現実の日本が違うこと。それは実際にはニンジャもチョンマゲもいないってことだと思うけど、もしかしたら心意気の面でも、ニッポンと日本はズレていっているのかなぁ。