21.《ネタバレ》 社会人として普通のキャリアを積むことに失敗し、意欲はありながらも能力を発揮する機会をもらえない主人公。でも資材を盗んで売りさばくなどコンプライアンス意識に欠けるところがあり、何とも言えない悲壮な容貌も相まって、その行動をみるのが怖いような感覚を最初から覚えます。そこから事故現場のパパラッチという職業を知って、そこに参入していくのですが、何も気にせず目的にまっしぐらな行動を躊躇なくとれる主人公は大活躍をしていきます。踏み込んじゃいけない事故現場エリアで危なっかしい行動を繰り返す主人公に観ている方もハラハラドキドキさせられます。結果的には最後まで成功を続ける主人公ですが、テレビ局の女性プロデューサーに脅迫まがいに関係を迫ったり、一緒に組んでいた仲間を金のもつれで殺されるように仕向けたり、主人公ではなく、観ているこっちが後味の悪さを覚えさせられる映画です。 とにかく各シーンの臨場感は半端なくて、それだけで何かいいものを観たという気にさせられる作品でした。あとは人間の行いがテーマである映画なのに、社会一般の考えから乖離した間違った考え方をもつ主人公が罰を受けることもなくサクセスストーリーのように映画が終わっていくのがある意味裏切りになっていて、映画の後味を濃くしつつ言わずもがなの良識の部分は鑑賞者にゆだねられる、というのが新鮮でした。 8点はある映画なのかなと思いましたが、個人的には、素直な性格の自分にはちょっと乗り切れない部分もあるので7点にしたいと思います。 【たあたん】さん [インターネット(字幕)] 7点(2022-08-21 17:33:38) |
20.《ネタバレ》 終始居心地の悪さを感じる映画。 主人公のルイスは登場時から狂気をはらんでいて、目的のためには手段を選ばない人物であることが窺えます。頭は良い。クレバーなものの見方をする一方で、ここぞというところの勝負強さ、度胸もある。彼の一挙手一投足から目が離せません。 ストーリーだけをなぞれば、人生のどん底にいた男が、努力と頭脳と執着心だけで成功していくサクセスストーリー。 ですが、普通のサクセスストーリーを見た後の幸福感や満足感みたいなものは微塵も感じられません。見ている側まで悪事の片棒を担がされたような変な後味が残ります。 この映画を見始めて、ルイスが暴走し始めたとき、彼が取り返しのつかない失敗を犯し、破滅する未来しか予感できなかったのです。でもルイスは失敗しない。最後まで成功し続けます。そのストーリー展開が意外と言えば意外。こーゆータイプの人間は大抵ラスト破滅するのに。 最後に会社として成功し、新入社員たちと共に会社専用のバンに乗り込んで街へ走り去っていくシーン。ここまできて、やっと変な緊張感から解放されたという安堵感を感じます。 【たきたて】さん [DVD(字幕)] 7点(2020-11-08 14:51:02) (良:1票) |
19.映画を見て少しでもスカッと爽快感を得たい人は見てはダメ。マバタキを極力せず、眼力一発で 演じきったギレンホールに拍手を送ります。主人公が悪であることに間違いないが、彼の撮った 映像をテレビで興奮して流し、見て喜ぶ輩がいるという事実にゾッとする。現在のネット社会の 闇にも通じるテーマをもつ良作と思いました。この主人公が、数年後、悪の道に精進し、違う街 でジョーカーになりましたとさ、の方が、本家「ジョーカー」より自然な流れだと思うのは私だ けか? 【代書屋】さん [インターネット(字幕)] 7点(2020-08-02 14:38:27) |
18.《ネタバレ》 主人公はかなり不気味である。 冒頭の警備員を襲ったり金網を盗むシーンで、主人公ルーの性格がクズであることは把握できる。 クズである事をベースに物語は進むため、この冒頭はよくできていると思う。 パパラッチにフォーカスした映画ジャンルは私にとっては珍しく、こんなの見たことない~、みたいな感じでワクワク初めは見てました! どうやって、成功して富をつかんでいくのだろう、どんなサクセスストーリーが待っているのだろう、という期待に胸を踊らせたのです。キラキラした結末を予想していたのです。 ですが、ここでも主人公がクズということがポイントになります。成功はするもののキラキラした爽やかストーリーではなく、どす黒いクズストーリーです。そのクズさがあったから成功できたのでしょう。 後味はよくないですが、飽きずにずっと見ることができます。 主人公役の人は本当にすごい役者さんです、今でも私は彼を気持ち悪く不気味な存在だと思うからです。天才だ! 【ブリーバンデカンプ】さん [インターネット(字幕)] 7点(2020-06-08 12:24:56) (良:1票) |
17.《ネタバレ》 主人公のイカレっぷりが仕事とマッチしてる。それ故パパラッチってみんなあんな感じなのかなと思ってしまった。ただ作品には臨場感があり見応えがあった。 【ぷるとっぷ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-01-27 21:07:01) |
16.とても分かりやすい作品。いわゆるパパラッチを扱っているが、「タクシードライバー」のような個人の狂気と合わせて上手く作られている。 人を信じられない業界感がよく出ている。 【simple】さん [地上波(字幕)] 7点(2018-09-20 23:19:42) |
15.ラストまで主人公の人としてどうしようもない面を見せたことが良かった。テーマも新鮮で面白く、中華料理屋での銃撃戦など非常に緊迫感があった。ただ、警察で話すアリバイは無理があり過ぎ。調べればすぐバレるでしょ。 【noji】さん [インターネット(字幕)] 7点(2018-07-08 22:34:55) |
14.主人公のクズっぷりが最後まで徹底されていて、むしろ清々しかった。 【おとばん】さん [インターネット(字幕)] 7点(2018-03-24 23:36:04) |
13.《ネタバレ》 最初のうちは薄っぺらいことを妙に得意げに語りつつ、やってることはハチャメチャな主人公に戸惑うのだけど、「そういう人物」だと分かってくるとこの映画の底意地の悪さがたまらなくなってくる。あの薄っぺらさは、「最短距離で結果を出す」現代の効率性への意地悪な風刺でもあり、こんな風に戯画化されれば「引く」けれど、日常を生きていれば周りに必ずこうゆうタイプっているし、自分のなかにも少なからずこんな感じっていうのはある。だからこそ、「他人の気持ち」とか推し量ることなく、「最短距離で結果を出す」道を突っ走る主人公の醜悪な痛快さに、何とも言えない力で引き寄せられているのに気づいてしまう。何よりもエンディングに主人公の周りに集まってくる3人の「インターン」の雰囲気が秀逸。あの、いかにも「不器用ながら真面目に「成功」を目指す若者」っぽい感じ。彼らの今後を思うと、気の毒な気持ちしかないのだけれど、自己啓発セミナーにせよ、新興宗教にせよ、マルチなんとかにせよ、現代の建前と本音の狭間で人々を引きつける「何か」を描いた怪作。 【ころりさん】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-12-10 20:28:50) (良:2票) |
12.《ネタバレ》 ギレンホールの顔が大好きだ。 一目でサイコパスとわかるそのぎょろっとした不気味な目、まさに適役。 ドニーダルコでも思ったがこの俳優の顔には何か不安な気持ちを持たせる造形をしている。 ポストトゥルース が流行語になっている今だからこそこの映画の内容は興味深い。 我々は事実を見ているのではなく、見たいものを自由に解釈し、それを事実としている。 それをテレビというメディアが助長しているのだ。 最後は不安な気持ちを抱きながらも、何だか成功したギレンと一緒に喜んでいる自分がいた。 それにしてもこんな人間が身の周りいたらたまったもんじゃない。 【鈴木】さん [インターネット(字幕)] 7点(2017-09-19 22:08:10) |
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11.《ネタバレ》 パパラッチの視点でプロフェッショナルに全うする主人公の本質的な狂気。普通の人間なら倫理・生理的に躊躇してしまうところをとことん追求する。 久々に刺激的だった。 クライマックスは自作自演から墓穴掘るようなイメージを予想していたが、こうなるか。ルイスはハッピーエンド。後味の悪さに見応えあり。 ここまで気持ち悪く描くならリクエストは1つある。 ニーナとのセックスシーンでしょう? 映像という暴力に性の暴力もあれば完璧な気持ち悪さ。 |
10.《ネタバレ》 学生当時に見ていたら、トラウマレベルの嫌悪感に見舞われた映画でしょう。 自分が年寄りになったせいか、まあこんな映画があってもいいかなと客監視できました。 それにしても、主人公のヒトデナシっぷりに開いた口が閉まりません。 最近人気の俳優に、ここまでの役をやらせたのは監督か?と思ったらギレンホール君が 自ら製作したのですね。気色悪いハイエナを自ら希望した、意欲作でしたか。 ブラック企業に就職して、犬死させられる相棒が気の毒・・結果アメリカは恐ろしい。 最後に、新たに雇った3人のクルーが、何ヶ月生きられるのかが心配になるので この映画は恐怖映画のカテゴリーに入るのかもと・・ ぞぞぞ 【グルコサミンS】さん [DVD(字幕)] 7点(2017-05-07 21:39:08) |
9.《ネタバレ》 観る者を不快にさせる映画としてよく『ファニー・ゲーム』が引き合いにされますけど、私にとっては『ファニー・ゲーム』なんてかわいいものに感じるぐらい、今までに観た今世紀の映画で最悪に不快にさせてもらえた映画でした。この映画のたちの悪いところは『ファニー・ゲーム』の例の巻き戻しシーンと違って決定的に観客が席を立ちたくなるような破断点がないことで、かく言う自分もこのゲス野郎に最後は正義の鉄槌か天罰が下ることを願いながら観続けたのに、まさか最後はサクセスストーリーだったとは…最高に後味悪しです。でも映画としての完成度は高いことは間違いないです。ジェイク・ギレンホールの見事な役作りにも完敗しました。確かに『タクシー・ドライバー』のトラヴィスを彷彿させるところはありますけど、本作のルー・ブルームと決定的に違うところはトラヴィスには他者が見て「善」と感じられなくもないものを心の中に持っているところでしょう。このルーという人間には「心」がないんですよね。劇中ディレクターと助手以外の人間との自分からの接触はほとんど皆無、そしてセミナーなんかでよく使う怪しげな経営理論を妙に落ち着いた口調でまくし立て続けるのもたまらなく不愉快です。レネ・ルッソの演じるディレクターとは肉体関係を持ったことはセリフのやり取りから判りますが、映像としてはいっさい二人の関わりを見せないところなんて実によく練られた脚本だと思います。 よく出来た映画だと思いますが、難点としては「二度と観たくない」と軽いトラウマになってしまうことですね(笑)。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-11-25 20:58:28) |
8.《ネタバレ》 ゲスの極みのような主人公。常に駆け引きして相手を利用しようと自己中に徹している。 こういう輩には地獄を見てほしいところだが、サクセスストーリーになっているのがミソ。そこにカタルシスはないので、ストレスは残る。 ドラマや映画だとこういうゲス野郎はラストで報いを受けるのが常なのだが、現実世界ではこの映画のようにのし上がる奴も少なくないんだろう。コネも学歴も実績もない人間がのしあがるには、良心やモラルを捨てて他人を踏みつけていくしかない。目的のためには人が死んでも気にしないくらいに。そういう意味ではリアルな映画で、不快感と面白さが同居している。 「遠い空の向こうに」「ブロークバック・マウンテン」「ミッション:8ミニッツ」で見たギレンホールとはまるで別人。この役のために12キロ減量したギョロ目に、がつがつした狂気を感じる。 【飛鳥】さん [DVD(吹替)] 7点(2016-09-10 21:57:40) (良:2票) |
7.サイコパス的な男がフリーの報道事件カメラマンの仕事に目覚めてのし上がっていく、痛快サクセスストーリー。見る人によっては、この痛快部分に、ついていけないかもしれないですが、ある意味、ブラックコメディー的な映画かもしれません。この映画の面白さは、もちろんジェイク・ギレンホールの怪演。人当たりもよく、努力家、能力も高いが、しかし、普通の人なら、成功するために陥るかもしれない倫理観のジレンマを、全くに気にせず、成功する方へ簡単に舵をきってしまう主役のルイスを、とても一言では言い表せない不気味な魅力で演じきっていて、ヤバすぎて、逆に目が離せない。そして、誇張はされてるが、どこかこの男に社会の成功者の一面を感じずにはいられない自分がいる。ニュースとゆうものがいかに加工されて、僕たちの前に出されるかってゆう所を細かく描いてる点も面白い。 【なにわ君】さん [DVD(字幕)] 7点(2016-09-04 02:49:09) |
6.《ネタバレ》 サングラスをかけた姿がもうタクシードライバーのトラヴィスだもんね。もう創り手が意識してることアリアリ。話は面白かったけど、もうアメリカでは、ヒーローになって、町のみんなから握手を求められるのは、勝利ではないんだね。それよりも起業して、会社を大きくすることの方が価値は上のような国になってしまったのかなぁ。金なんだろうね。この主人公の行動が、それを意味してるもんね。ある意味、アメリカはベトナム戦争の頃より病んでるのかもしれない。 【トント】さん [DVD(字幕)] 7点(2016-07-16 16:59:00) |
5.《ネタバレ》 山で起きた事故の死体を動かし、移動しながら、カメラを構える場面。映像がドキュメンタリーからフィクションに変わる瞬間。物や映像を盗むものから、生み出すものに変わる瞬間。事件をただ外側から受容するものから、事件の内側に入っていく瞬間。 そこから撮ることが特権化し、被写体に対する優位性が、そして自意識が誇大化していく。 同時に反比例して倫理や道徳という人間味が欠落していく。 その臨界点で起こる最悪の結末。しかし、そこで生み出されたものは同時に美しい芸術であり、究極のプロフェッショナルが辿り着いた結末ともとれる。 そして間違いなく彼が一番輝いた時でもある。 魅力的な映像を撮る事、魅力的な何かを生み出す事の代償(大なり小なりあれど)から目を反らすことなく、最後まで真摯に向き合っていた。 そして、その代償も含めたものこそが観客が求めているものではないのか?と訴えかけるかのような、ラストの尋問室での主人公の監視カメラへの視線にゾッとした。 【ちゃじじ】さん [DVD(字幕)] 7点(2016-06-18 19:25:03) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 壊れたヤツが壊れた世界に生きる何かスゴイお話し。ギラギラした目はのし上がってやろうという野心の炎のようだ。ギレンホールの役者レベルの高さと物語の構成力が見事です&レネもさすがの貫録。ナカナカでゴザイマシタ 【Kaname】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-04-11 19:53:30) |
3.《ネタバレ》 そもそも大きいジレンホールの目が9kgの減量によりギョロギョロ感倍増で、ファーストショットの時点で「何だかアル・パチーノっぽいな」と感じたのですが、あることないこと大袈裟にしゃべりまくる様や、やたら態度がデカくてハッタリと勢いでのし上がろうとする様はまんま『スカーフェイス』のトニー・モンタナでした。本作は、一義的には俗物的な犯罪報道を批判する内容となっているのですが、それと同時に悪い奴が普通ではありえない方法でのし上がっていく様を楽しむピカレスクロマンでもあり、邪魔者を排除しながら目的達成に向かって突き進む主人公の活躍には、爽快感すらありました。しがらみの中で生きる社会人ほど、自由自在に動き回る主人公の姿にある種の憧れを抱き、有言実行で成功を収めるその凄さを実感できるのではないでしょうか。 この主人公、とにかく行動が早いことに感心させられます。報道パパラッチという職の存在を知り、儲かりそうだと感じた翌日には資金調達をしてカメラと無線受信器を入手。最低限の装備を整えるとすぐに街へ飛び出し、他のパパラッチに仕事の進め方や報道機関への売り込み方法を聞きながら事業化を進めていきます。このフットワークの軽さは社会人として見習いたいものです。取引先であるローカル放送局に入るや否や、決裁権を有し、かつ、自分と同様の価値観を持っていそうなプロデューサーを即座に見つけ出し、その人物の抱え込みに入ります。90年代には美人女優として多くの大作に出演していたレネ・ルッソ(監督の奥さん)が、歳の割に派手でケバケバしいプロデューサー役を熱演。この人も、若い頃には手段を選ばず何でもやってこの地位を得たんだろうなぁという匂いをプンプンさせています。そんな二人の出会いの場で主人公が披露するのはネットや自己啓発本で得たような浅知恵なのですが、ターゲットであるプロデューサーも彼と大差ないレベルの人間であるためか、二人の会話はそれなりに噛み合うのです。 そんなこんながありながらも主人公は着実に成果を挙げていき、会社はそれなりに軌道に乗りますが、従業員に対する文句は多いが給料は少ないというブラック企業ぶりが笑わせます。従業員に向かって「なんで俺がこんなに成功したか分かるか」と、説教とも自慢話とも付かない講釈を垂れ始める様は、典型的なブラック企業の経営者なのです。報道パパラッチという一般的に馴染みの薄い業界を扱いながらも、多くの人がイメージしやすいワンマン経営者の話としてこれを描いた点に、本作の優位性があります。 また、本作は『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』でオスカー受賞歴もあるロバート・エルスウィットが撮影監督を務めているだけあって、低予算の割にはビジュアル的にも見応えのある作品となっています。犯罪現場を臨場感たっぷりに映し出し、見ている我々も主人公と同じく倫理的な罪を犯しているという感覚を抱かせるのです。主観で描かれるクライマックスのカーチェイスは、同じくジレンホール主演の『エンド・オブ・ウォッチ』をも上回る迫力であり、さらには「もの凄い特ダネを入手した」という高揚感もプラスされ、映画全体が異常なテンションで疾走します。 【ザ・チャンバラ】さん [ブルーレイ(吹替)] 7点(2016-03-04 15:57:20) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 J・ギレンホールの演技は秀逸。目に表情がなく不気味な行動、言動が恐怖を煽る。でもそれだけかなあ。もう少し特別なエンディングを期待しました。 【kaaaz】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-02-05 22:37:13) |