2.《ネタバレ》 『剱岳』でも思いましたが、登山って本当に過酷ですね。見てるだけでも辛い。何十キロもある装備を抱えて、何日も、時には数週間もの時間をかけて山を登って、また降りる。ハイキング程度の山ならまだしも、零下29度をさらに下回るような極寒の吹雪・嵐の中で絶壁にテントを張って夜を過ごさないといけないような山を登ろうだなんてほんと現実の話とは思えない。前述の『剱岳』はまさに日本的というか、「山」というものは人が敬意を払いながら登る者だという精神性が描かれていました。対して本作『MERU』はシンプルに「山」vs「人」という感じ。登れるか、登れないか、そこにいたるまでの過程をただひたすら描いて見せたドキュメンタリーでした。なぜ彼らはここまで山を登ることに命を賭けるんだろう。比喩や誇張ではなく本当に命を賭けて。何が彼らをそこまで駆り立てるのか、そんなところをもっと掘り下げてくれたらよかったかもしれない。いや、きっとそれでも彼らの登山にかける思いが本当に伝わるかというとなかなか難しいんだろうな。
自分も登山をしてみたいとかそんなことは全く思いませんが、登り切った後の頂上からの景色はきっと登った人にしかわからない素晴らしいものなんだろう。誰かの写真やドローンではなく、一度くらい自分の目でその景色を見てみたいとは思いました。