1.《ネタバレ》 この出来事が数十年前のものであれば、それこそ事実に目をつむって脚色し、最大の盛り上がりを作り上げたり、救助の足を引っ張る自然の要素や人的被害などもふんだんに入れたことだろう。しかしこれはつい最近の出来事。日本でも頻繁に報じられた事件ゆえ、制作サイドは事実に根差したものにするか、エンタテインメント化するか、企画の段階で悩んだことだろう。そして前者を選んだ。そこを理解せずに映画としては…とかは面白くなれれば高得点にならない、では切ない。
おそらく、閉じ込められた人々が現状を理解し、自分さえ助かればいいという映画上のステレオタイプな人間がいなかったからこそ助かったのだ。助かりたいならみんなでじっとしていようという、知り尽くした採掘マンだからこそ同じ結論にたどり着いたのではないか。最も難しいこと貫いた彼らの精神力と、何とか助け出したいという地上の人々の気持ちがなしえた奇跡を、盛り上がらない中で感じる作品ではないだろうか。
ここまで俳優が豪華なのは、これは世界的にヒットするという皮算用の結果なのか、だれもが知る奇跡の事件に賛同した俳優が多かったのかはわからない。
ただ、やたらヒーロー化した人物がいないのが映画全体の好感につながっているように感じた。