2.《ネタバレ》 今まであまり題材にされないような国際NGO団体の日常をを描いたニッチな映画。タッチが小説の短編的な感じで、2日間にわたりユーゴ紛争地域の現地の人々と団体職員との非日常的な日常を描く。登場人物もお話の定型で理想に燃える新入り、すれからっしのベテラン、そこに女癖の悪いおじさん職員が前に遊んだ彼女が組織の査察官として現地を視察し、そこで痴話喧嘩が燃え上がるというもの。作品の大枠としては昔の日本映画、川島雄三あたりが小説を映画化したような娯楽作品だが、技が効いているのはユーゴ紛争の悲惨さをさりげなく現地の人々の日常から透かして見せること。NGO職員と現地人との距離感の取り方も実際ああなんだろうし、現地の少年や現地人通訳のセリフを通して過酷な現実とそれを百パーセント解決できない自分たち、もしくは国連軍の無力感をいい具合に浮かび上がらせている。また先進国からあえて紛争地帯で国際支援活動に勤しむある意味母国では社会不適合者であるNGO職員の姿もリアリティがあってよい。惜しむらくは無駄なシーンが結構あって、もっと編集でテンポよくできたのではと感じる。それでも、ほのぼのしたブラックコメディの中にまじめに国連軍や国際NGO活動の難しい現実をリアルに提示した良品だと思う。