1.過激な環境保護思想を持つ若者たちがダム爆破を計画し、その後の心理的葛藤を描いた作品。
監督のケリー・ライカートは、彼らの行動を通じて、環境保護運動の在り方やその影響を問いかける。
ディーナが劇中の環境保護映画の上映作品の監督との対話など、彼らをひとくくりで見てはならぬメッセージ性などが込められている。
前半の環境活動家の理念と思想と裏腹に後半、その結果として何を得られたのか。
いや何が残ったのか。静かに突きつけてくる。
また、監督は本作でノワール映画の要素を取り入れており、特に中盤から終盤にかけての光と影の使い方が効果的に用いられ、
登場人物たちの心理的な不安や疑心暗鬼を表現している。
原題の「Night Moves」は、彼らがダム爆破に使用するレジャーボートの船名であり、「夜遊び」という意味も含まれている。
これは、物事の大小を測り損ねたジョシュたちへの皮肉が込められているとされている。
環境保護活動家たちの行動とその後の心理的葛藤を描いた、静かなサスペンスドラマで、アクションやスリルを求める方には物足りないかもしれないが、
登場人物たちの内面や倫理的な問題を深く掘り下げ、社会の中に揺らぐ人間を描く良作と思う。