1.《ネタバレ》 何とも気持ち悪いお話。
何かの拍子で心が入れ替わってしまった人間と犬のお話とか、生まれ変わったら犬だったとかだったら既視感はあるのだけれど、これは正真正銘人間を犬として扱うお話。
お金持ちのイケメンボンボンが強烈な支配欲を満たすために幼馴染をペット化している。そもそもクリスチャンはフランクのことを人間と思っておらず、普通の?神経の持ち主であるシグリッドには到底理解出来ない関係性であっても、クリスチャンはそれを理解出来ないシグリッドが理解出来ないわけで、同じ世界に住んでいても精神は別世界にあるという感じ。それは極めて危うい均衡を保っている関係性であって、ほんの小さな出来事によってでも脆くも崩れ去ってしまう。だからバットで殴られた日には一気に崩壊。折角同じ人間として扱っていたのに犬とツルムなんておかしいじゃないか。あ、そか。シグリッド、お前も犬だったんだ。じゃあちょうどいい。フランクは寂しかったんだ。二人で仲良くしなさい。おうおう仲良しだね、子犬が出来たか。じゃ、三匹で暮らせるようにボクがその子犬も飼ってあげるよ。ボクは優しいだろ?犬好きなんだよ。そんなお話でしょうか。
北欧のホラーとしてはそれほど生々しくはなく。目を覆うような暴力シーンもない。ある意味物足りないようにも思える作品。でも、よーく考えてみると相当コワい。サイコパスがペットとして誰かを拉致監禁しているとか、変態野郎が女の子を捕まえてオモチャ扱いしているとか、そんな作品は多々あれど、本作のコワさ気持ち悪さはある意味それらを上回るかも。
昔、確か永井豪さんの短編だったと思うのだけれど、もっと惨たらしく残酷に人間を犬として扱うシーンが出て来る漫画があって、半世紀以上経った今でも心の奥にトラウマ的に引っかかっています。本作はビジュアル的にはそこまでのものではないけれど、当分は気持ち悪く心に残ってしまいそうな作品でした。
ちなみに、邦題はストレート過ぎていかがなものか?原題の方がひとひねりあって良い感じです。