【トント】さん [DVD(邦画)] 7点(2021-07-20 01:20:43) |
21.既視感があるというか、いろんな映画や小説を寄せ集めてイメージビデオにしてみました。という印象ですけど、北関東の鬱屈した中学生の雰囲気は充分に伝わってくる。それをリアルと言えるのかは賛否がわかれるのでしょうけど、中学生の不安定な時期にこの程度の逸脱やイジメなら別に珍しくはないような。あらためて中学時代の危うさと瑞々しさは感じる事はできた。あの頃に戻ってみたいようなみたくないような複雑な気持ちにはなる。そういう心を動かされるモノはある。 群像劇なので個々の物語は弱いし、そもそもイメージビデオ的なので、物語性を求めるものではないだろう。詳細な製作過程は知らないのだが、「ネットとリアル」というのがひとつのテーマではあるハズで、そこへのツッコミというか問題提起が弱かったように思う。 |
20.《ネタバレ》 雄一の心情に絞ってレビューします。言及されている方はほとんどいないのだが、青猫が星野でフィリアが雄一という解釈で良いのだろうか。雄一は現実世界の自我を心の棚にしまい込み、あのイジメに耐えていた。心を開くのはリリィ・シュシュの音楽とサイトの書き込みだけ。彼にとってのリアルはリリィ・シュシュとサイトの中にあった。しかし、コンサート会場の青りんごの一件で青猫は星野だったことが判明する。その瞬間に、彼のリアルは現実に侵食された。サイト上では分かり合っていた青猫とフィリア。その関係が現実と重なると、イジメる側もイジメられる側も心の渇望や痛みは違わないことになる。そんなこと、納得できる訳が無い。だから雄一は星野を刺した。青りんごの件が無ければ、チケット廃棄もイジメのひとつで終わっていたと思う。私が中学生の頃はネット環境は無かったが、日記のようなものに自分勝手な独白をぶつけ始めていた。その行為自体はネットの書き込みと大差ない。それを分かち合う人物はいなかったが、もし私をイジメていた上級生や近所の悪ガキ(といっても、かわいいイジメでした)が同じようなことを綴っていても、分り合えた訳がないし、憎しみが倍増したような気さえする。だから、自分の内側の世界を守ろうとした雄一の心理には共感できる。でも、エーテルという言葉に象徴される現実逃避的な虚無感は自分に酔っているようにしか思えなかったし、現実との接触を避けながら概念だけで構築された内的世界は、どこまでも肥大するが同時に脆弱だ。本作は様々な見方ができると思うが、人生で初めて浮上した自我を自分の内側に囲い込むことの危うさを描いた作品というのもひとつの視点だと思う。それと、私はドビュッシーが好きなので、あの旋律を気分が悪くなる描写の間に散りばめていることが嫌だった。悲惨さを相殺させるつもりだったとしたら、安直でズルイ。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-06-09 23:23:54) (良:1票) |
19.《ネタバレ》 沖縄の部分が間延びしてる感じで、見ててもダレました。 この部分そっくりカットしては駄目なんでしょうか? 他は良かったので気になりました。 最後いじめられた少年が相手を刺殺するとこはちょっと「必殺シリーズ」みたいで良かったです。その場面をもっと盛り上がるようにしてくれれば嬉しかったけど、そうゆう映画じゃないし、無理か。 【紫電】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2009-02-07 21:25:05) |
18.《ネタバレ》 とにかくイタイ映画。劇中のイジメやレイプなどのシーンそのものに対しては「リアル」をあまり感じなかったが、中学時代に感じる様々な問題・悩みに対する独特の心の痛みという意味では非常に「リアル」を感じた。当時は些細な事でも自分にとっては事件であり、傷つき悩んでいたと思う。この映画を時々もう一度観たいと思うが、いざレンタル屋に行くとなかなか手が出ない…不思議な映画。ちなみに当時、映画を観た帰りの車の中の雰囲気の悪さを今でもよく覚えています。普通、映画を観た帰りというのは色々話したり楽しいものですが、この時はさすがに無言でした。気が滅入ってしまいあれこれ話す気にもなれなかった。 【N.Y.L.L】さん [試写会(邦画)] 7点(2008-09-25 01:21:27) (良:1票) |
17.いじめている人間もつらそうだったりする。傷ついた者たちが、さらに互いに傷つけ合って、そして壊れていく教室。だらしなくいじめている者と、必死にいじめている者とがいて、星野君は必死にいじめているのが、なんかとてもつらそう。沖縄で死にそうになって、悪霊がついたって感じで。でもきっと、本当に怖いのは、だらしなくいじめることができる連中の方なんだ。ひとり踏ん張っている久野さんが希望。伊藤歩がすごくいい。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 7点(2008-07-10 12:10:24) |
16.《ネタバレ》 リアルタイムに劇場で観た時は、素直に「すごい映画だ」と思った。その後、結婚していい年になってから再鑑賞。これは酷い映画だ。別に映画の出来が酷いわけではなく、内容があまりにも悲惨すぎる。レイプシーンの異常なまでの不快感に吐き気を覚えた。ただ、全体的に観ると、とても「記号的」な映画で、「いじめ」「援交」「レイプ」「殺人」と言った週刊誌的な内容を、凝った映像と陳腐な台詞で彩っているだけ。なので、「14歳」という独特の空気感を感じることはできるが、実はそれほど深いことを言っているわけではないような気がする。これは、若い時に観て「感じる」映画だ。ところで、蒼井優の出演シーンがあんなに短いとは意外だった。それほど彼女の存在感が抜群だったのだと、改めて実感。 【フライボーイ】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-05-19 07:13:23) |
15.自分にとっては映画というより実際に体験したことばかりがだったので、現実的すぎて暗くなったけど、すでに乗り越えてきた時代だったので重くはならなかった。中学時代は多くの人にとって地獄があったのではと思う。地獄の中にいるからこそ、抜け出したいと光を探すのだと思う。この時代を生き抜けたら、大人になっても大丈夫な気がする。 【omut】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-10-31 14:05:57) |
14.前半部分ばっさりカットしてもいいくらい・・・作品の半分が説明ってのは辛い。 見返す時は蒼井優登場あたりから観ることが多いです。 【カラバ侯爵】さん [映画館(邦画)] 7点(2007-07-17 08:10:50) |
13.《ネタバレ》 この作品(というかこの監督)に関してはレビュー点の付けようがないなあと思ってずっと避けてたんですが、レビュー500本近くなってきたので踏み込もうと決意。もう何度も観てる作品なんですが、「映像だけで作品を語れる術」を持っているのは、北野武と岩井俊二だけだと思います。セリフや音楽一切無しでも魅力的な映画を魅せられるのは実力だと思いますし、素人のようなカメラワークは、逆に見ている側もまるでそのコミュニティにいるかのような錯覚を感じさせます。この作品も、まるで現在のいじめ社会を象徴するかのようなリアリズムで観ていてとっても痛いのですが、田舎の綺麗な風景と残酷なまでのイジメ、逃げられない中学生という狭いコミュニティでの窮屈さと、田園の中で目をつぶり、リリィ・シュシュの音楽を聴きながら現実逃避する対比。マジメで優等生で男子にも人気のある伊藤歩演じる生徒がレイプされ丸坊主になったり、岩井監督映画の象徴とも言うべき蒼井優演じる女性も、売春を繰りかえしながら必死に自分の存在意義を求める。灰色の日発足後(犬伏の前でナイフを見せた教室のあの日)忍成君演じる星野の世界になった灰色を、最後は市原君演じる蓮見が、同じようにライブ会場外でナイフで決着を着ける。全てがリアルであり、それでいて無味乾燥な映像に、もう数回観てるのにまた胃が痛くなりました。とは言ってもこんな作品、他の実力の無い映画監督ではとても撮れないし、この監督特有の、まるでカメラの前に霧をかけたかのような「残酷なメルヘン」の世界は日本に留まらず海外での評価も肯けます。わざと嫌悪感を持たせる作品ながら、役作りとは思えない登場人物のセリフ回しも相まって、本当のリアルがここにあるんだなと今回も感じました。いじめや理解の無い大人の多い世界に苦しむティーンエイジャーにとって、この作品のように、共感できる歌手に救いを求められたら、不幸中の幸いだと思います。ラスト、まるで市原君が首をくくって自害したかのように見せるカメラワークは、岩井監督としては希有なユーモアセンスある演出を感じました。 |
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12.《ネタバレ》 14歳のころ、世界は狭く、ほんの小さな出来事にも翻弄されていた。陰湿ないじめが描かれているが、それにより浮き彫りにされているのは「どこにも逃げ場のない閉塞感」だ。自殺や殺人は絵空事ではなくいつそうなってもおかしくない「リアル」だったんだ。主人公・蓮見の唯一の逃げ場が「リリィシュシュ」という歌手。「リリィ」がどれほどすごいかを観客を知ることはできない。ネット上で語られる「リリィ論」はどれもあいまいで感覚的で薄っぺらだ。「リリィ」はマスコミなどによって作り出される一過性の偶像の象徴にも思える。そんな薄っぺらな「リリィ」に対して蓮見は「リリィだけがリアル」という。蓮見にはそんな薄っぺらな「リリィ」だけしかないのだ。それ以外のものは蓮見にとってリアルではないのだ。いじめる側の星野もまた「リリィ」だけに逃げ込んでいる。星野自身も追い詰められている点は同じで、そこから逃れようという気持ちが「他者への攻撃」となっている。いじめをしても星野はまったく救われていない。ネット上だけでふたりは分かりあっている。「リリィ」は久野から星野、星野から蓮見、そして蓮見から津田へと伝えられる。最後に「リリィ」にすがりついているのは津田と星野と蓮見の3人。久野が「リリィ」を聞くシーンはない。現実に対峙した久野には「リリィ」は必要ないということ。久野だけがこの映画の中の唯一の救い。。 【承太郎】さん [DVD(吹替)] 7点(2006-04-10 00:46:21) |
11.《ネタバレ》 私は素晴らしい作品だと思う。確かに賛否両論あるのも分かるし、リアルかリアルじゃないという議論がなされるのも分かる。 しかし、岩井俊二に多少なりとも似通った感性をもった人ならば、完全に物語の世界に引き込まれて、いつしか、見ている自分もクラスメイトの一員のような感覚で見れる。津田しおりや久野ようこの事件はとてつもない衝撃だった。そして実際にこういう事件は起きていると思う。 岩井俊二が「遺作」と言ったのも理解が出来る。この物語の登場人物はほとんど彼の分身だからだと思う。いじめられっこ、いじめっこ、それを見逃すこ、便乗していじめるこ、自殺するこ、強いこ… とにかく好きな人は映画うんぬんより、この世界の存在がいてもたってもいられなくなった 【elly】さん [映画館(字幕)] 7点(2004-07-13 01:35:22) (良:1票) |
10.イヂメ・非行・援助交際・レイプ・暴行・・・ 少年少女達の様々な陰の部分がすべて含まれている。 見ていて途中何度か静視していられなくなる。 胸に詰まるような内容が、リリイの独特の音楽・ドンヨリした映像と 共に見ている俺の心にダイレクトに入りこんできた。確かに後味悪い、 妙に心にひっかかる作品だ・・ 【アキト】さん 7点(2004-06-27 04:44:26) |
9.イジメにしても、レイプにしても、もう10年以上前から(実は三島由紀夫は30年以上前に作品にしているが、)社会問題化していて、十分に語り尽くされているストーリーなわけだが、それを臆面もなく大々的に取り上げて、観るものに投げつける岩井俊二の力技的な技量には、なんとも言えなくなる。観る者としては、これだけリアルな世界が発達し続けて、犯罪のニュースが氾濫している中では、イジメの問題も、レイプも、中学生の犯罪もお腹いっぱいで見たくないという思いが強い。だから、ニュースもその深部はあえて伝えようとしないし、知識人がテレビであえて語るようなこともない。あれだけ活発だった「朝まで生テレビ」でも、最近青少年問題を取り上げることはない。そんな中で観たこの映画は、そのストーリーの力強さに、完全に押されてしまった。正直に言って、ストーリーは過剰ではないのか?という思いも強かった。しかしこの映画を観る中で、自分の尺度では"過剰"だと思えるようなことでも、世の中にはリアルに存在して、それは稀であってもリアルなことだろうな、なんてことを考えた。それにしても、岩井俊二はいいスタッフを使う。小林武史の音楽は最近のヒットチャートでは流行らなくなったが、フィルムに載せてあげると活き活きとした音楽になる。篠田昇は光線の使い方が日本一上手い。この人は、本当に日光を知り尽くしたカメラマンだと思う。そして、監督である岩井俊二は、「本人も理由のわからない苛立ち」を描かせると本当に光った演出をする。そういうことを考えて、とにかくいい映画に仕上がっていると思う。 【fero】さん 7点(2003-12-27 21:50:11) |
8.鬱になる映画だw悪いわけじゃないけど今の自分の生き方から照らし合せると共感できない。あまりにもネガティブだ。 お前らもっと上手く生きろよって不器用すぎるぞってのがどうも。数年前みたらプラス2点は行ってた映画かも。 見る時期によるわな。 【とま】さん 7点(2003-10-28 19:01:22) |
7.前半、眠りそうになったし、全く訳のわからん内容だったけど、全体の空気感はさすが岩井監督と思いました。、ストーリーを考えるより空気感を味わう作品。余計な期待をしないで暇なときにゆっくりゴロゴロしながら観たらいい。ピアノの音が綺麗だったし、アカペラの合唱がよかったぁー。あと、ふてくされた女子高生、ああいうのいる。 【レンジ】さん 7点(2003-09-26 18:07:47) |
6.ただ一つだけ、掲示板を意識しすぎて何度かスクリーンに文字だけが挿入される部分だけは受け入れられなかったです。それ以外は(うまく言い表せないけど)「リリィ・シュシュのすべて」という映画として素直に見ることが出来ました。エンドロールの映像は美しすぎてずっと見ていたいと思わせてくれた。 【tomomi】さん 7点(2003-07-28 06:19:31) |
5.傷ましくも輝かしい。憂鬱になってどうしようもない。この手の話は、嫌いな人は嫌いでしょう。僕は、いやだけど好きですね。 【april】さん 7点(2003-05-17 17:47:11) |
4.苦しくて、痛くて、懐かしい映画だった。この世界は、見かけは静かで、何も変わらずに流れていっているのだけど、極めて混沌としている。この頃抱え込んだドロドロした黒いものがもう一度こみ上げてきたような気がして、直視できなかったが、見をそらすこともできなかった。 僕もあの頃、彼らと同じように音楽に救いを求めていたことを思い出した。 【iroha】さん 7点(2003-04-17 17:12:23) |
3.見てるときも見た後もとても絶望的になるのだけどなんだかすごくリアルを感じる作品。こういうことってどこにでもある現実です。救われたのが田園都市の美しさ。すっごくきれいで泣きそうになった。稲森いずみさんがでてきたのは以外でした。私はやっぱり岩井俊二さんの作品好きです。 【白猫】さん 7点(2003-03-20 20:27:55) |