2.一般的中流家庭の型にはまった男と型破りなファムファタルの出会いから強引な二人旅が始まり、男の食い逃げとはレベルも年季も違う旅すがらの犯罪行為と大人の火遊びが矢継ぎ早に展開される。あまりの急ピッチに男は成すがまま。もうほとんどコメディと言っていいほどの男の巻き込まれっぷりが実に楽しい。先の見えないロードムービーが一息つく、夫役として女の実家に、そして同窓会へと赴くはめになるころにはロマンスコメディ色を出してきて、徐々に大真面目なラブストーリーの様相まで見せてくる。と思ったらそこから急展開でスリラーへと移行する。さすがB級映画の帝王と呼ばれたロジャー・コーマンの弟子。なんでもござれだ。しかもちゃんと繋がってる。冒頭の女のビッチぶりは社会に組み込まれた男を脱出させるための必然だし、女の出所したての元旦那の登場は真に人間性を取り戻すための通過儀礼だし、女の出生地でのあれこれは、女もまたこの村社会的な閉塞感にあえいでいたことを提示してもいるのだ。いやはや、お見事。音楽もまた多種多様なのだが、ラストのがとびきりいい。「ワイルド・シング」のレゲエバージョンなんだけど、その楽曲の軽快さとシスター・キャロルのラップ調の歌い方が最高。本人がウェイトレスで登場して歌い出すってのもしゃれてる。