3.《ネタバレ》 「村」というものがよく描かれている。
平穏な村が徐々に崩壊してゆく描かれ方が素晴らしい。
村には狂気が根強く感じられる。
登場する人々の多くが心に闇を抱え、少し狂っている。
その狂った部分がこの村全体で渦巻いている。
警官が酔っ払い男を脅す場面は狂気がみえる。
ビール好きのデブ男が銃を構えたときの笑顔は狂気がみなぎる名場面。
ホラー映画でこの場面を超えるシーンはそうない。
この映画はオカルト映画としての演出が神がかってる。
観る度にその素晴らしさに気づいてゾクッとする。
この映画で闇はひっそりと忍び寄るがその力は強い。
「悪」が魔力を帯びたかのように根強くある。
窓から少年が泳ぐように進入してくる場面はこれまた非凡なものを感じる。
不思議な不気味さの漂う場面だ。昔の本物オカルト映画にしかない恐怖だ。
墓守の男の演技はユニークで面白い。
ヴァンパイアの手下の老人の内から発せられる迫力は凄い。
たぶんキューブリックの「ロリータ」で共依存にとらわれた男を演じた役者だ。
ドラキュラの館は荒涼としたところが幻想的だ。
トビーフーパーの手腕が「悪魔のいけにえ」の次に冴えている作品である。
「悪魔のいけにえ」のリアリティはこの作品にも少しだけ表れる。
土埃の感じが古臭くて良い。
このレトロでローカルな村の雰囲気が魅力的でならない。
平穏な村にも裏の顔が存在する。
これほど吸血鬼を実在するかのように描く作品は知らない。
吸血鬼が村や人に及ぼす影響力をここまで描いた作品を知らない。