19.《ネタバレ》 原節子+高峰秀子たちの映画女優のメタフィクション映画。映画とのクロス度合いが少しうまくいっていないかなあとは思うが、面白い発想で楽しめた。 実際は、千年女優でなく百年女優では? 【にけ】さん [映画館(邦画)] 7点(2019-05-20 11:47:51) |
18.《ネタバレ》 三十年前に女優を引退した藤原千代子が取材に応じ、過去を振り返る物語。初恋の相手であり、女優となる機縁となった、鍵の君への一途な恋が語られる。回想場面に立花と井田が登場するのが特徴で、中盤からは、井田は役の人物にもなるという斬新な演出。戦国時代からSFまでを演じたので千年女優。主題は一貫して千代子が鍵の君を追いかけること。残念なのは、千代子の目に輝きがなく、顔に生気も感じられず、主人公に魅力が無ければ興味は半減だ。彼女が何故あそこまで鍵の君を一途に思い続けるのかも不明だ。彼女が鍵の君に助けられる等の演出が欲しかった。彼女は類型行動を繰り返し、精神的にも成長しない。何度も地震が起きたり、土蔵の絵画が残ったり、特高が鍵の君の手紙を持っていたりと不自然な点もある。表面だけ追っても理解できない。鍵は、鍵の君の絵画道具の入った鞄の鍵で、これは千代子も承知だ。鍵の君は特高の拷問で死んでおり、彼女は幻を追っていたことになる。追いかけることは、あこがれに向かっていることで、女優であることの象徴。鍵があることで女優でいられた。千代子に恋の呪いをかける老婆はもう一人の千代子。千代子は映画の中で虚構の生を生き、虚構の恋をする。一種の輪廻転生で、それを客観的に見ている自分が老婆。自分に永遠に女優でいる呪いをかけた。だから千代子を生まれる前から知っており、憎くてたまらず、いとおしくてたまらない。鍵をなくして一時呪いの効力は失せたが、鍵が戻り、女優として再生し、撮影途中で投げ出したSF映画を脳内で完成させる。「彼を追いかけている自分が好き」は、女優である自分が好きという意味。最後のロケットがワープ航法で消える場面は、現実での死であり、女優としての輪廻転生からの解脱だ。輪廻転生は随所に出て来る蓮の花で示唆され、ロケット基地も蓮の花の形をしている。劇中、監督が言う。「観客も女優も適当に嘘をおりまぜて乗せてやるんだよ」これは千代子にも当てはまることで、最高の演技をするために、一途な恋を自分自身に演じてみせていた。鍵の君への想いが演技の糧だった。彼女は鍵の正体を知っていたし、鍵の君がこの世にいないことも薄々気づいていた。が、自分に呪いをかけて、永遠に恋焦がれるよう、すなわち女優でいられるよう暗示にかけた。映画も女優も嘘、すなわち虚構である。死ぬまで女優でいることの素晴らしさ。映画愛の詰まった作品だ。 【よしのぶ】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-11-21 23:56:01) |
17.《ネタバレ》 現実と空想がごちゃごちゃになるだけならつまらないと思ってしまうのですが、映画のストーリーと被せることで納得させ、より複雑にする設定が素敵です。女優・藤原千代子に感情移入して見ているとラストシーンでズドーンと突き放されたというか、お前そんなことを…!と怒りさえ湧いて来ましたが、エンドクレジットを眺めながら、そりゃそうだな…と納得してしまいました。女優とは、人間とはこういう生き物だ。夢を追いかけるためには何かを犠牲にしなければならない。それにしても、不思議な映画です。でも面白い。今敏の凄みを感じられます。 【カニばさみ】さん [DVD(邦画)] 7点(2013-08-10 21:08:34) |
【アンダルシア】さん [DVD(邦画)] 7点(2007-05-08 06:15:41) |
15.《ネタバレ》 美しいビジュアルに巧みな展開で、最後まで観客を飽きさせません。制作会社社長とカメラマンの掛け合いもいいアクセント。(カメラマンの関西弁にちょっと違和感ありですが。)“たった一度の出会いが一生の恋になる”という物語にも、すんなり納得できました。彼女は彼女で幸せだったと思いますが、“愛を知ることなく終わる”のはやはり哀しいと思いました。多くの皆さんがご指摘の千代子のラストの台詞ですが、自分は不要と感じました。作中で表現されていることを、わざわざ口に出して言うのは艶消しかなと。ただ、外国市場を視野に入れるなら、これくらいハッキリと説明する必要があるのかもしれません。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2006-11-22 20:01:27) |
14.《ネタバレ》 最後の一言が不評なようですが、僕はハッとされました。矢面に立たされることの多いナルシシズムですが、それを見事に擁護し、ナシシシズムをバッシングして、物質的なもの(人も含む)を賞賛する人達に、一撃食らわせる、見事な展開だったと思います。 ナルシシズムに生きる人生もありなのでは、いや、それこそ幸せなのではないか。求めるものが手に入る入らないは関係ない、それを求めて生きる人生そのもの自体が、幸せな人生なのではないか。手に入ってしまえば、もう追い求めることもなく、ただ老いさばらえていくのですから。「満月ではなく、その一日前の月が好き」と鍵の君が言っていましたが、それこそがこの千代子の生き方、そして監督の幸福についての思想を形容しているのでしょう。よくやった監督!! ・・・と、その点だけでみれば10点つけられるのですが、映画としてみると似た展開が多すぎて正直途中で飽きてしまうので7点です。 |
13.ただの回想の物語かと思っていたら意外な展開になりビックリ。インタビューの社長さん、回想エピソードに参加し過ぎ! さすがに同じような展開の連続で後半ちょっと飽きてしまったけど、なかなか面白かったです。それにしても冒頭のロケット発射シーンが、まさかああいうかたちのオチに繋がるとは…。 【とかげ12号】さん [DVD(吹替)] 7点(2005-10-30 11:42:38) |
12.絵も動きも千代子も全部綺麗だった。でも話がね。それから音楽もテクノはやめといた方がよかったと思う。千代姫の時に電子音がビービー鳴り出したのは不自然だった。平沢進はきのこの歌を歌ってればいいんです。 【ぶらっくばぁど】さん 7点(2005-02-03 15:45:31) |
11.千代子もすごいが、社長もすごい。ただの脇役かと思わせつつ、少しずつメインに入れて最後には結構重要な人だったっていうもってき方もうまいと思う。最後の一言は個人的にアレだったんですが、他の人の批評をみて納得。映画館で見ても良かったと思う作品 【マキーナ】さん 7点(2004-11-07 16:23:07) |
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10.なかなか邦画愛が詰まった映画で良かったです。最後の一言も無ければ無いでスマートだろうけどあってもまあいいんじゃないの。話し上手な老人との会話って確かに相手の世界に引き込まれ、話しもアッチコッチに良く飛ぶんだけど、それをキレイなファンタジックなラブストーリーにしたらこんな風になるのかな。 【亜流派 十五郎】さん 7点(2004-10-19 21:28:14) |
9.“千年”と言う想いの時を、アクトレスを通して描かれる女性の心理描写も、不思議とトリップ感漂うイメージを鑑賞者に与える。素晴らしいまでにハイクオリティな個々の描写は、細部までキチンと丁寧に作られており、そういう意味では実に見応えがあります。“過去の出来事が走馬灯のように過る”と言うが、まさにそれ。目紛しく変化する舞台と状況にやや戸惑いましたが、それもこれもクオリティの高さは一目置きたい。たった一言で通してしまいそうになる言葉だけで、これだけ長時間を掛けて表現する奥深さはそれだけで独特なアニメーションの様に感じる。女性の生きた証のようなものを一定の時間でレトリック化した表現は面白い。 【_】さん 7点(2004-04-19 00:54:39) |
8.《ネタバレ》 アニメーションの特性を活かしたまさに「女の一生」。人生と映画がシンクロしながら進む展開は、その場面転換の鮮やかさも含めて実に優美です。なめらかです。昔の女優、昔の映画撮影の現場など、その当時のムードもよく出ていて、それに振り回される男2人も狂言回しに徹して面白く出来ています。現実と映画で描かれる虚構の世界との境目が段々失われていくあたりからは、多少画面についていけない独走っぷりが発揮されますが、ラストの台詞で納得。永遠に女優である限り、自分を愛せないではいられない。そんな自分が愛おしい、そんな自分こそあらゆる物語の主人公なのよ、と。映画全体がこの女優のためのものであることを描いたエゴにも近いラスト。でも、観てしまうのはこの女優の術中にまんまとはめられているってことですね。 【映画小僧】さん 7点(2004-04-06 09:34:10) |
7.絵がとても綺麗です。観ているときはそれなりによかったのですが、心に残る内容ではないですね。タイトルから壮大なストーリーを想像していたのですが、そうでもなかったです。 【へっぽこ】さん 7点(2004-03-18 11:38:49) |
【よしふみ】さん 7点(2004-02-19 22:58:50) |
5.PERFECT BLUEと同じで、虚実が入り混じるストーリーは、そこいらの実写ドラマよりもよく練られています。女優さんが主人公だけど、アニメだからこその演出が盛りだくさん。観る人によって様々な解釈ができるというか、観る人に答えが委ねられている、間口の広い作品だと思います。 【なおてぃー】さん 7点(2004-02-01 04:22:15) |
4.《ネタバレ》 キャッチコピーの、「その狂気にも似た純愛(確かそんな感じ)」の「狂気」の部分は、中盤ずっとピンと来なかったのだけれど、あれはラストの千代子の一言に全てが集約されるのですね。あの台詞は凄いですよ。ゾゾゾっと来ました。ああ、全て本質的な欺瞞か、と。一気に観客に真理を見せ付ける一言。人生全て演舞台。天晴れな自己洗脳。女優なんて自己愛あってなんぼのもの、だからこそ女優たり得る、と。凄いですね。あの台詞は効いた。 【ひのと】さん 7点(2004-01-15 16:04:58) (良:1票) |
3.映画作品と現実が入り混じる手法はある意味「マトリックス」と同じ位刺激的でした。んでも、やっぱし最後の台詞は、ちょっと野暮というか・・・。「秘すれば花」って言葉もあるし、違う形で表現したほうが良かったんじゃないかなーと思いました。んでも、こういうオタク向けでも子供向けでもでないアニメーション作品がジブリ作品以外にもちゃんとあるのは嬉しいことです。 【ぐるぐる】さん 7点(2003-11-26 21:37:35) |
2.さすがに絵がきれい。「絵がきれい」だけでの評価はどうかと自分でも思うのですが、実際そうなのです。本当にきれい。キャラは私好みだし(ちなみに私は目がやたら大きいキャラが出るアニメが大嫌い^^;)、表情がとても豊かで、アニメでもここまで表現できるのだと感心しました。私はパーフェクトブルーよりもこっちの方が好きかな?時間が1時間半くらいなのも良かったと思う。もし2時間あったら、かなり間延びしていた可能性が高かったと思います。ちなみにここのシネマレビューのお陰で本作品を知る事ができました。感謝です。 【はむじん】さん 7点(2003-10-30 00:20:48) |
1.わけのわからないストーリーと色彩美のアニメ。しかし、なぜか見入ってしまう。実写ではできないであろうくるくる回る場面は次々と巡る運命の輪なのか。壮大なドラマなのか、はたまた作る側のオタク映画なのか、こちらの混乱しながらも楽しめました。最後のせりふも「これでいいのか」と思ったが、「これでいいのだ」ということですね。 【たこげるげ】さん 7点(2003-05-11 13:59:32) |