1.とりあえず邦題‥‥センスなし。もとネタの「シチズンX」でいいやん。邦題から想像されるのは、血みどろの殺人シーン、いかにもな名前?の性犯罪者の変態描写、叫び声とうめき声が交錯するホラーストーリー、といったところかも知れないが、実物はシリアスな人間ドラマで、一見の価値アリ(内容に関しては、以下の↓秀逸なコメントを参照のこと)。どこかの所轄の刑事さんが「事件は現場で起きているんだ」なーんて言葉を吐けるのは、まだずっと恵まれてる証拠。ここで描かれている、警察機構の徹底的した官僚化・硬直化は、ある意味近代国家の成れの果てなのか、と薄ら寒くなる。とはいえ、そうした政治体制の下での個人の価値観や尊厳を、単純なイズム批判に特化することなく、閉塞的な社会状況の中に淡々と描く脚本、そしてそれを少ないセリフ数ながら見事に体現している役者が、どちらも素晴らしい。強いて言えば、あれだけソ連ソ連した場面でみんなが英語喋ってるのがねぇ・・・しょうがないのだけど。がんばってロシア風アクセントを導入しているあたり、なお違和感。