4.《ネタバレ》 他の方のコメントにもあるよう、初期シリーズの集大成的作品であり、この後に続く「肉弾ジャッキー映画」の原点とも言える。カンフーアクションだけなら、この地点で既に完成されている。
ひたすら戦ってばかりなので、さすがに中盤辺りからは少し間延びするが、刀や椅子、棒、扇、キセル、スカートなど、色々なものを使って見せるカンフーには手抜きが無く、肉体的に全盛期のジャッキーだからこそ出来たアクションも多く、見ていてうっとりしてしまうほど。ベタなギャグにも嫌味が無く、作品の雰囲気を明るくしている。
ただ残念ながら、やはりストーリー性の低さや、キャラの使い方はイマイチ。基本的にジャッキーしか戦っておらず、ジャッキーの兄貴やユンピョウ(役名あったっけ?)、役人の娘さんなど、魅力的で頼りになりそうな登場人物がいるのに、ぜんぜん活躍しないというのがもったいない。特にラスボスを捕らえるのにジャッキーに協力しないのが納得いかない。ジャッキーのピンチに現れて、ふたりで協力して戦ってもいいし、ボスの側近を倒すのを手助けするでもいいから、ジャッキー以外の人物にも活躍の場を与えて欲しかった(「別にお前を助けるためじゃねーからな」とか、「あいつを倒したら、次はお前との決着だぜ」と言わせるとかさあ…)。この辺の「キャラの使い方の分かって無さ」には、やはり時代を感じる。
また、その肝心のラスボス戦がダラダラと長すぎ。ひたすら「ジャッキーがやられる→復活する→またやられる」の繰り返しだけなので見ていて飽きる。苦戦しながらも何故かジャッキーがハイパー化して勝ってしまうというのも、そうなる必然性に欠けている(今作は定番の「修行」すら無いから余計に無理がある)。ボスの足技はカッコ良いが、あれだけ蹴りまくってるのに倒せないというのも情けない。ジャッキーの苦戦とタフさを見せつける演出が逆にマイナスに働いている(無駄に戦いを長引かせるだけでは意味が無い。ラスボスとしての凄さが薄れるだけ)。ラストだからこそテンポや見せ方を考えて欲しかった。
アクション9点、ストーリー2点で、平均すると6点も無いくらいだけど、全盛期のジャッキーの魅力にプラス1点しときましょう。