2.主演の岡譲二の顔に象徴される様に頗るハイカラで硬質な作品。ダーティーで危うい世界で生きるヤクザとズベ公。二人の生活は見掛けはハイカラで洒落ているが虚飾に満ち溢れている。二人はその生活というものが丁度、譲二が田中絹代演ずるズベ公にプレゼントしたネックレスと同様偽物であることを、地道に真っ当に生きて居る一人の女性の出現によって気付いてしまう。レコード屋に勤めるその女性の慎ましくも美しい気高さに感化されてジタバタし始める二人。その証拠に譲二は思わず「音楽って奴は神様が作った物の中でも出来のいい方だぜ」と呟いてしまう。この台詞だけでもこの映画は買いだ!!(サイレントですけど)。それにしても、小津や当時の日本人の美的センスの好さには感心させられる。ギャング達が被るソフト帽がメチャクチャカッコいい!!