1.スティーブンソンの「宝島」は、簡潔で流麗な文体と海賊シルヴァーの特異なキャラクターで評価されており、このディズニー映画は95分とコンパクトながら、原作ファンをまずまず満足させる出来。 冒頭のビリー・ボーンズのくだりが省かれているので、黒犬がベンボー提督亭に現れた時は彼がボーンズかと見誤ってしまいましたが。 ジム・ホーキンス少年は想像より年少なもののがんばっており、リブシー先生やトリローニさん、スモレット船長もそれらしい風情。 実質的な主役であるジョン・シルヴァー(ロバート・ニュートン)をラストでは大胆に書き変え、彼に残された人間らしさとジムとの絆を強調しており(アニメの「トレジャー・プラネット」も同様にアレンジ)、原作のままではシルヴァーの魅力が十分でないと考えたようで、本ではシルヴァーよりもリブシー先生の方が好きだった自分も納得。 シルヴァーは個性的でも好人物とはいいがたかったからです。 砦のセットなどは「宝島に来た!」と思えていいのですが、ドラマ中心でジムがベン・ガンの皮ボートで漂流したり、ヒスパニオラ号を操舵するシーンがないのはやや物足りない気がしました。