2.《ネタバレ》 原題は『ズイドコートの週末』。戦前は海水浴客で賑わっていたダンケルク近郊の海岸に、英仏の敗残兵たちが押し込められてしまったわけです。彼らにはもうフランスでの戦争は終わった様なもので、ドイツ軍の砲爆撃にさらされながらただ救出されるのを待つだけの状態。イギリス兵たちにはまだ帰国出来るかもしれないという希望があるけど、フランス兵にとっては船に乗れてもそれは故国との永遠の別れになるかも知れないという絶望的な状況でもある。このフランス兵がまたおっさんばっかりで若者がベルモンドぐらいしか出てきません。第一次世界大戦で大量の戦死者をだして出生率が著しく下がった当時のフランス軍の状況が判ります。後にも先にも、ダンケルク撤退戦をフランスの視点から描いた映画は本作だけなので貴重です。むかしは仲が悪くて戦争ばかりしていた英仏人の微妙な気質の違いも良く判ります。 紅一点のC・スパークの魅力を満喫できるのは特筆ものです。顔のパーツが大きいところは、今の女優で言うとA・ハサウェイみたいな感じでしょうか。死に行くベルモンドの眼に、スパークがスーツ・ケースを持って遥か彼方から歩いてくるのが映るラストシーンには、ほんと胸が突かれます。