2.《ネタバレ》 稀代の制作者セルズニックが愛妻(当時)ジェニファー・ジョーンズの魅力を伝えようと一大プレゼンテーションを敢行、当時にして破格の600万ドルの巨費を投じて作られた大河ドラマ風ウェスタンがコレ。度重なる監督交代やシナリオ変更におけるセルズニックの異常なまでの拘りは「風と共に去りぬ」を意識したからとか。尤も「風と~」が制作時のゴタゴタした舞台裏なぞ微塵も感じさせぬ圧倒的な完成度なのに対し、コレはその混乱ぶりがストーリー展開にも如実に滲み出てしまっている。物語の運びに観る者を完全に置き去りにしてしまう唐突さが隠せない分、些か評価を下げざるをえない。主にヒロインたるパールの心情描写が何とも舌足らずで、アレでは単なる尻軽かつ移り気なアバズレにしか見えない。殊にサムを射殺したルートとあっさりヨリを戻し、彼を追っ手から匿うくだりのパールの言動はどうにも理解に苦しむ。ラストのルートとの決闘も、彼女の(デューク東郷もビクーリな)超絶スナイパーぶりへの伏線が全く無いので強引に過ぎる感が拭えない。まぁ相討ちに終わり愛憎ない混ぜの内に寄り添って死に行く二人の姿は、その後ゴダールが「映画史」の中でも繰り返し引用したくらいパセティック(情熱的)かつデスペレート(絶望的)なムードが横溢して圧巻ではあるが。重厚な脇役の好演(ライオネル・バリモアとリリアン・ギッシュ最高!)と贅沢極まる3人の名カメラマンによる強烈な色彩のカメラワークと時代を先取りした異色のドラマに…7点。