9.《ネタバレ》 やたらと重ね着をしたがるムショ帰りの粗暴な大男=ジーン・ハックマンと、妻子を捨てて5年も船員として放浪していた気はイイんだがちょっとおつむがたりなさそうな小男=アル・パチーノ、この若かりし頃の二大名優が最初で最後の共演をしたロードムービー。クレジットの人名をすべて小文字にするという、典型的なアメリカン・ニューシネマの一編です。この当時のアメリカ国内は見るも無残な状態にまで堕ちていましたから、ロケで見せられる風景もわざと荒んだ場所を選んでるんじゃないかと思わせるような感じです。はっきり言って中盤まではダラダラした展開なんだけど、ハックマン&パチーノの組み合わせが妙な化学反応を起こしているような感じで、やっぱ引き付けられるものがあります。刑務農場での体験を経てからは二人のキャラが入れ替わっちゃうのが面白い、とくにハックマンのストリップは強烈でした。デトロイトにパチーノの妻子に会いに行ってからラスト三十分には、観ていて胸が締め付けられる感がありました。亭主が生死不明の失踪ということにして他の男と再婚した妻の心境は判らんでもないが、息子は八ヶ月で流産したなんて大嘘をつくところはいくら何でも…って思いますよ。これでパチーノのメンタルは完全に崩壊してしまうんですから、なんちゅう残酷なことをしてくれたんだ、と思います。思うにアメリカン・ニューシネマに登場する女性キャラにはロクでもない女が多い様な気がします、まあ女性が主人公というニューシネマ自体がパッと思いつかないぐらいですからねえ。まだアメリカですらそういう時代だったのかな。 【S&S】さん [DVD(字幕)] 7点(2024-06-28 22:52:30) |
8.《ネタバレ》 ここのレビューで高評価だったので期待して観たのですが、なんかそうでもなかったです。がしかし、なぜかジワジワくるものがある。その理由はジーンハックマンとアルパチーノの二人の存在に違いない。なんかもうすごいですよね、この二人の演技。特にジーンハックマン、必ず主役的な位置づけのアルパチーノが脇役に思えるような存在感。と言ってはみてみたものの、ジーンハックマンの周りでヒョウヒョウと動き回るアルパチーノの演技も実は逸材。この二人あってのスケアクロウですね。エンディング、ジーンハックマンは旅立ちます。アルパチーノはたぶん回復するでしょう。そしてジーンハックマンの後を追うでしょう。車洗いのビジネスが成功するかどうか、ジーンハックマン社長だと少し(というかだいぶ)不安ですが、成功して欲しいと思いました。 【珈琲時間】さん [DVD(字幕)] 7点(2015-09-07 08:33:48) |
7.《ネタバレ》 ケンカ騒ぎを起こして逮捕される酒場のシーンなど、途中ところどころであまり巧い具合にいってないと思われる場面があるのですが、本作は冒頭と最後のシーンが素晴らしいのです。まず何も無い荒野に湧いたようにジーン・ハックマンが不器用に登場する。遠巻きから様子をとらえた映像で見せ、今度はそこに待っていたようにアル・パチーノが登場する。道を挟んで遠かった二人の距離が一本のマッチで縮まる…。空から降ってきたようにポツンと現われる二人にはどこか寓意的な感じが漂っていて、これから始まる二人の道中に何らかの意義が存在するように思わせる作りになっています。さらにこの友情形成において人間不信のハックマンがパチーノを信頼した理由が〝最後のマッチをくれたから〟というのが完璧です。そして、ここで終りなの?!と衝撃を受けたあのラスト。なけなしの金まで使ってしまう遣る瀬無い結末も、往復切符を買い、靴をバンバンたたく響きが心に染み入り強烈な印象を残すのです。二人のあまりに厳し過ぎる船出を思うと〝カカシ男〟たちに幸あれと祈りたくなります。 【ミスター・グレイ】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2008-11-19 18:43:22) (良:2票) |
【ケンジ】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-01-28 20:16:07) |
5.《ネタバレ》 変わる事が出来なかったのが、知り合って付き合ってゆくうちに心揺さぶられ、変わってゆける事が出来るのを実感させてもらった作品です。そして壊れてゆくライオンを観て、辛さ、苦しさ、悲しさに一人で持ちこたえていて、いよいよアカンという土壇場の時に、助けを求めて一緒になって持ちこたえてもらう(逆の立場でも勿論です)。一人でいいからそういう友を持つ事が出来れば幸せだと感じました・・・・・・・・・・・・が、近頃、自分にとって真に大切な人を、自分が吐きだした悲しみや辛さを受け止めてもらう便器や洗面器にしてはならないと考えるようになり、この作品を思い出しました。どれだけ悲しくても辛くても腹に呑み込み、それで壊れるのも止む無しです。ライオンはこの後必ずや復活するものと信じています。 |
4.《ネタバレ》 アル・パチーノの「カカシは美しい」を受けて、ジーン・ハックマンが人を笑わせようと振舞うシーンまで見たとき、これは「北風と太陽」(暴力=北風、笑い=太陽)かと思いましたが違いましたね。あとにつづく物語が予想外に切ないです。「カカシは美しい」や、ラスト直前での「一人じゃだめだ」もさることながら、「獄中で欲しかったものは」と聞かれてハックマンが「家庭料理」と答えるシーンがものすごく印象に残りました。ラストもハックマンはピッツバーグに発つも、それで終わりではないということを匂わせており、良かったです。 【虚学図書之介】さん 7点(2004-03-17 20:21:12) |
3.《ネタバレ》 「カカシは美しい。なせなら笑う事を覚えたからだよ」ここでハックマンがカカシになるところはグッときますね。人は出会いによって変われるんだなあと思います。でも自分の感情を押し殺してカカシで有り続けようとして悲しみを堪え、壊れてしまうアルパチーノも切なくて、心を揺さぶられます。 <追記>17年ぶりに再見。改めて見ると、ハックマンがカカシになるところはちょっと唐突感はあるが、実は内面的には変わってはいなくて「演じる」ことを覚えただけと解釈できないこともない。それでも十分な成長ではあるが。壊れてしまうアルパチーノもちょっと大げさな感じもしないでもないが、こちらは逆に自分を押し殺して「演じる」人生を送ってきた人間の成れの果てを象徴していると言えなくもない。どっちの生き方がよいのか問われれば、ハックマンのように素直に感情を表に出して、自由に生きる方が楽なのかなって気はする。結果、他人との衝突は避けられないのではあろうが、自分を殺して最後に壊れるよりはマシなのかと。 【東京50km圏道路地図】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2004-03-10 15:13:40) (良:1票) |
2.ジーン・ハックマンがなかなか頼れるアニキぶりだった。男の人はこういうのとても好きだろうなと思う。私も男だったらきっと10点満点付けたでしょ。でもやっぱり私は女なのでね、男は勝手に出て行ってふらりと帰ってこようとし、それでもいいかもしれないが、待っている女はつらいよぉ。やっぱ5年は永い。女も切ないもの。だけど男の友情か、、なかなかいいね。最後靴からお金を出すとこは、ちょっと笑った。道理で靴を枕にしてたわけだって。 【fujico】さん 7点(2003-11-30 22:40:30) |
1.ラストで「信頼できるやつはお前しかいないんだ」とライオンに言うところがじーんときてしまいました。あんな感じで二人であって、あんなに友情の深い仲になる、この自由さとでもいいましょうか、そういうのに憧れます。 【あろえりーな】さん 7点(2003-04-13 23:42:07) |