8.《ネタバレ》 主題歌は音楽の教科書にも載っていて有名でしたが、映画の方はロマンスという以外あまりよく知りませんでした。まあラブストーリーとしてはこんなものでしょう。実話が元というのは初耳でした。
それよりも興味深かったのは、共産党の扱い。中国からは香港に逃れてくる人がたくさんいるし、スーインの妹は共産党に狙われないよう外国人と親しくなる。マークは朝鮮戦争の取材に行って亡くなり、はっきりとはしていませんが、北軍の攻撃が原因でしょう。つまり本作での社会主義・共産党というのは完全な悪役で、ほぼ全否定されています。ハリウッドでマッカーシズムが猛威を振るったのは1950年代前半のようですが、それと関係があるのでしょうか。もっとも、本作が公開された前年の1954年12月2日にマッカーシーは失脚することになり、反共産主義の映画としては時機を逸したと言えるかもしれません。
本作が主題歌以外あまり話題にならないのは、ラブストーリーとしてありきたりなだけでなく、政治的な問題もあるのではないかと思えました。
あと、中国難民の女の子に歌を歌わせたら、「フレール・ジャック」だったのには驚きました(しかも中国語の詞)。