5.《ネタバレ》 「どこに行くかは、行きながら考える。」
高校時代の仲良し5人組。卒業から1年半の年月が経ち、ある者はソウルで、ある者はニンチョンで、それでもそれぞれの生活を送っている。時間や距離が人の心を引き剥がしてしまうなんてよくあることなんだけど、5人はそれを否定するように、何かといっては集まろうとする。お互いのためというより自分のために。
社会に出たはずなのに、5人の中でしか自分を位置付ける事しかできない彼女たち。皆が同じ方向を向いていた時はそれでもよかったかもしれませんが、彼女たちは既に別々の道を歩み始めているからややこしい。かつてはそんなことなかったでしょうに、親のコネで一流企業に就職したヘジュは、他の4人に対して優越感をひけらかす。そんな彼女を嫉妬と羨望で見つめるジヨンとテヒ。この2人はツルみがちなのですが、それとて恐らく今だけなのが暗示されている。
一流企業でばりばり仕事をしているはずのヘジュは、会社では単なる雑用係。デザインの才能を生かしたいテヒは、家計の都合で進学できない。何をしたいわけでもないジヨンは、何をしたいわけでもないだけに家の手伝いをやらされる。中国系双子の姉妹だって人と違うことがしたいだけで、特に目指すところがあるわけではない。
思い通りに進まない現実に、戸惑い挫折する20歳の5人。"楽しかったあの頃"の象徴である友情にすがりつくも、それすらも時の流れに変化してしまっている。でも本当に変わってしまったのは、厳しい現実にさらされた彼女たちなんですよね。
お互いの身勝手さを責めつつも、自分の身勝手さも重々承知。いずれは大人にならなきゃいけないとわかっちゃいるけど、20歳という年齢が邪魔をする。まだリセットできる歳だと知らないほど子どもじゃないから、5人の決意は鈍りがち。
子猫を拾ったけど、家の状況を考えたらとても飼えないテヒ。もらったときは嬉しかったけど、だんだん邪魔に思うようになるヘジュ。仕方なく家族に隠れて世話するジヨン。旅立つジヨンから世話を任される姉妹。
5人の間をたらい回しにされる子猫は、今は宙ぶらりんな自由の象徴。けど彼女たちが自立するとき、今度は本物の自由の象徴として彼女たちの間を巡るのかな。行きつ戻りつ、5人が大人になるように。