2. 95年に行われた教団への強制捜査にて、警察は毒ガス攻撃に備えてカナリアが入った鳥篭を持って施設に潜入したのだという。カナリアは有毒なガスなどにとても敏感で微量なガスでもすぐに死んでしまうからだとか。そのカナリアはまさにこの物語の少年と少女を表していると言えよう。厳しい現実社会に無防備なまま立たされた少年少女が、反発しあいながらも時に協力して必死で生きていこうとする姿は感動的だった。たしかに、一瞬で頭髪が白髪になる(科学的にありえない)など、わざとらしい演出もあったが、現実の宗教団体をモデルにしたと思しき教団のリアルな描き方や、少年少女のロードムービー的な面白さもあって、あくまでエンターテインメントとして昇華させているので、すごくこの物語に引き込まれたのです。
また、俳優たちの演技も素晴らしかった。とくに主演の石田法嗣と谷村美月の演技には圧倒されました。いつでも遠くを見つめているような眼差しが印象的で、それは自分たちを取り巻く社会への不安と明日を見つめる希望に満ちていたのではないでしょうか。