1.原作の上巻だけを映画化した作品。ストーリーだけ抜き出せば、家族崩壊がテーマの映画としてみることが出来る。夫婦仲が冷え切るきっかけは「普通の人々」と似通っているが、失われた息子の代わりとして雇われた青年、息子の代わりになれなかった娘の存在が本作のキーポイントである。エディを得たことでルースを娘と認められたマリアン、そんなマリアンにテッドは危機感を覚えるようになる。そして肝心のルースは写真に兄の面影を見出そうとしている(エディを幽霊と思い込むシーンが笑える)。やや、エピソード間の繋がりが弱く、散漫な印象を受けるが、原作の伏線やユーモアを違和感無く織り込んだ手腕は見事。主要キャスト4人の演技はどれも素晴らしい。とくに、キム・ベイシンガーの表情だけで語る演技はさすがである。エル・ファニングも冒頭のシーンだけで知的な雰囲気が伝わってくる好演ぶり。それでいて他の役者を食ってしまっていないところがいい。作家の娘という難しい役どころを説得力を持って演じ切れているのである(もうダコタ・ファニングと比較するのはやめよう)。