28.《ネタバレ》 バラのつぼみ。 何もかも手に入れた男が、最期に残した言葉の意味を探る旅のような映画。 ラストシーンで、彼が本当に求めていたものが明かされる。 しかし、それはお金では買えないし、そもそも歳取った彼には手に入れられないものだった。 彼はそのことに気づいていたのだろうか。 それとも、代わりになるものをずっと探し続けていたのだろうか。 なんだか、北斗の拳の聖帝サウザーを思い出した。 いや、名作と言われる映画を冒涜するつもりはないので念のため。 |
27.《ネタバレ》 『Mank マンク』の予習のため10数年ぶりに再見。初めは睡魔との闘いで印象に残らなかったが、今見ると愛着障害を描いた現代に通じるテーマだった。愛情の代わりに金は無尽蔵にあり、強大な権力もあった。それでも二人の妻も二人の親友も去っていったのは、こういうことをしたんだからという見返りが透けて見えていたからで、他人の心情を上手く汲み取れない不器用さがあまりにも悲しい。世間的には新聞王として持て囃されても彼の一部分でしかないし、関係者の証言も彼の一部分でしかない。あるのは、遺品が容赦なく焼却処分されるように、死んでしまえば忘却の彼方へ置き去りにされる虚無感だけだ。今でこそ珍しくない演出手法も当時は斬新で、実在の新聞王をモデルにしたのだから、このセンセーショナルさがオーソン・ウェルズの強大な野心と深く重なる。ドナルド・トランプはこの映画が好きだったようだが、現在の窮状を見るに大いなる皮肉を感じた。野心、野心、野心・・・。名を残すとはこういうことなのだ。 【Cinecdocke】さん [インターネット(字幕)] 8点(2020-12-06 00:52:00) (良:2票) |
26.《ネタバレ》 古い映画だけど、面白い。ばらのつぼみという冒頭の謎の提示から始まるミステリー&サスペンス。アート作品であり娯楽作品。そして、パンフォーカス。 【にけ】さん [映画館(字幕)] 8点(2019-01-15 11:08:53) |
25.《ネタバレ》 「フォルスタッフ」「黒い罠」「オセロ」と随分楽しませてもらったウェルズだが、この作品はどうも退屈だった。というか、この映画1本だけでウェルズを語るのは「市民ケーン」以外のウェルズへの過小評価にも等しい行為だ。そのせいで日本における、いやアメリカでもウェルズは過小評価されてきたのではないだろうか?だからハッキリ言っておきたい。ウェルズは絶対に「市民ケーン」以外も見ろ、と。この映画を楽しめなかった人・楽しめた人すべてに。 この映画もワンシーンワンシーンは好きなんだけどさ。 新聞社に乗り込んでどんどん成長させていくシーンとか、 ケーンと奥さんの冷え切った会話、 鳥が飛び立つような場面転換、 終盤で怪獣のように室内で暴れる様子は「ゴジラ」へ、その暴走を止める「薔薇の蕾」、 鏡の前を歩き幾人にも分裂するケーンの姿・・・。 重厚な音楽と共に始まるオープニング。侵入を阻む柵、鉄格子、まるで城のようにそびえる不気味な黒い建物。 窓の灯りが消えたり付いたり、雪が降り続ける丸い球体が手から転げ落ち、砕け散る。「薔薇の蕾」の言葉を残して・・・。 続いてたった今くたばった人間の生涯を語るニュースフィルム。城主に君臨する新聞王としてのケーン。 およそ10分に渡るニュースフィルムが終わると、続いて新聞記者が“本当のケーン”探しに出かける。劇中の人物は時折黒いシルエットのように映される。 夫としてのケーン、雪の中で無邪気に遊ぶ子供だったケーン、養子としてのケーン、野心を燃やして新聞社に乗り込む若者としてのケーン、共に仕事をした仕事仲間としてのケーン、ライバルとしてのケーン。様々なケーン像が明らかにされ、過去を語る場面と共に蘇っていく。 映画そのものが偽りであるように、世間に知られるケーンもまた偽りの存在でしかない。劇中の記者は、観客は本当のケーンを知る事が出来るのか、出来ないのか。様々な要素を持った謎解き映画でもある。 残された夥しい遺品に蟻のように群がる人々、街のビル群のようにも見える遺品の山。そして何も知らない人々に焼き尽くされる“真実”。黒い煙はケーンのいるあの世にまで届くのだろうか。 すべてを奪われ、すべてを手に入れたつもりになって、本当に欲しかったものは最後まで得られなかった。 修復版で意図的にザラザラにしたニュース・フィルムの演出まで修復してしまったのは残念でならない。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 8点(2014-01-31 11:20:55) |
24.《ネタバレ》 映画歴史上に名作と誉れ高きこの作品を観る機会に恵まれました。素晴らしい内容とは思いつつも、、、ちょっと物足りなさが残るのも事実であります。巨万の富を得た引き換えに「ケーン」が失ったもの…その虚しさを象徴するような巨大な空間と数え切れないほどの彫刻 愛とはなんなのか?金や名声は愛に替えうるものなのか?? きっとこれは永遠のテーマであり、死を迎える瞬間にしか分からないことなのでしょう。。。 人間としての「生き方」を考えさせられた映画でアリマシタ 【Kaname】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-11-05 22:21:46) |
23.《ネタバレ》 「バラのつぼみ」を誰かさんが入手したとかなんとかいうニュースのお陰で、最初からその正体を知ってしまっていて、でもまあ、それでつまらなくなるという訳でもなく。映画を見ていていかに「あー、アレの元ネタはこれかぁ」っていうのが出てくることか。スピルバーグやらゼメキスやら『タイタニック』やら『嫌われ松子』やら、いちばん最近では『ウォッチメン』。どれだけ後の世界のクリエイターに影響を与えたかがよく判ります。物語は最初にケーンの人生をさっさと説明した上で関係者の証言という形で辿ってゆく訳ですが、この時代によくもまああれだけ多彩なテクニックを駆使できたもんだって感じで。語られるケーンの物語そのものは今となってはそんなに面白いモンでもないのですが、それを見せるテクニックが凄いのでぐいぐいと引っ張られてしまいます。未完成な劇場、未完成な城、モザイクな装飾の城の中、妻のパズル。映画そのものがパズルのようになっていて、その中に入れ子細工のように象徴的なアイテムが組み込まれ、人の人生を象徴してゆきます。断片の中の、一番若いケーンと共に登場する「バラのつぼみ」。それが示唆する事に思いを巡らせた時、1つのパズルが出来上がってケーンという一人の人間の生を見るのですね。 【あにやん🌈】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-04-15 00:08:58) (良:1票) |
22.映画であることを最大限に活かしきった構成、そして“愛”という普遍的なテーマの描き方の見事なこと!! まさに金字塔。 【j-hitch】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2009-01-01 22:34:10) |
21.《ネタバレ》 本作が長い映画史において燦然と首位に輝く最高の傑作とは思えないけど、高い水準にある映画であることは間違いない。 まず、映画の構成がとても独創的であると感じた。スーザンがザナドゥでジグソーパズルをやっていたと思うが、本作こそはまさに「ジグソーパズル」ではないか。観客は、示されたいくつかのピース(ケーンの人生の断面)を与えられ、ケーンの人生像を探ろうとするものの、ジグソーパズルの全体像(ケーンの人生像)は最後まであまり見えてこない。しかし、最後のワンピースである「ローズバド」が観客に示されると、とたんにこのジグソーパズルは完成するという仕掛けになっている。観客は鑑賞中に、ケーンというジグソーパズルを完成させるという脳内での作業を強いられるわけであり、頭脳を使わなくてもよい、ただのハリウッド映画とは性格を異にする映画である。そういう意味においても、万人が好評価できる万人向けの映画とは思えない。 ストーリーに目を向けると、「ローズバド」によって明らかになったケーンの人生は、悲惨なものだった。金によって欲しいものは何も買うことはできず、金によって必要なものは失われていき、金によってますます孤独になっていく(ザナドゥの城のように)。人を愛そうとしても愛することができず、人や市民から愛されたいと願っても愛されることはなく、すべて自分本位でしかいられなくなった。大金を有したことによって人生が狂わされていく。 もっとも悲惨なのはスーザンに対するケーンの対応ではないか。 スーザンに対してケーンは金の力を利用して、彼女の望まない人生を歩ませる。これはまさにケーンが後見人のサッチャーなどからされたことにすぎない。ケーンは自分の力で歩むことができなかった人生に対して怒りを感じていたにもかかわらず、愛そうとした者に対して、同様のことをさせることしかできなかった…そういう愛情の方法しかできなかった、知らなかったのである。この矛盾こそ、ケーンの人生を一番明らかにしているだろう。スーザンに歌を止めさせようとしなかったことも、知事選に負け、ジャーナリストとして道を外してしまった自分の(勝利を確約されていたはずの)人生の負けを認めたくなかったからなのだろう。大金を掴んでしまった故に、悲惨な人生を歩むざる得なかった、とても哀しい、寂しい男の一生がきちんと描きこまれていた点において本作は評価せざるを得ない。 【六本木ソルジャー】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-10-01 15:40:00) (良:2票) |
20.《ネタバレ》 観おわって感心。 そうですか~そういうことなんですね。 「薔薇の蕾」とはケーンが失い取り返せなかったもの。 この言葉によって観客を飽きさせない展開も脚本も素晴らしかった。 そして、私にとって一番印象的だったのはオープニング。 子育て中なのでとても参考になりました。 たとえ子供が小さくとも、ウソついて手放してはいけません。 出世してもお金持ちになってもこんなに寂しいのであれば・・・ 不憫だなと胸がきゅんとしました。 名作の誉れも高い本作ですもの、モノクロ作品としては驚きの美しさ、切れの良さに感心しました。 【たんぽぽ】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-06-09 20:30:56) |
19.《ネタバレ》 超ネタバレ(になるかな?) O・ウエルズは、ケーンのモデルとなったウィリアム・ランドルフ・ハーストとは後妻の歌手の友人から脚本家を通じて合っていたらしい。伝記映画を作るとの事で。 ある日この映画のあらすじを知ったハーストが怒り出して、協力を断り資金援助も無し。 そして圧力をかけてきたそうです。 ここまでは良く書かれていますが、どこかでこんなことが書かれていました。 『「ばらのつぼみ」とは後妻の歌手の「ナニ」の部分を表す、ハースト夫妻同士の隠語』 。。。ホントかよ? そういう情報を仕入れた後見たら、、、なんだかケーンがかわいそうになってきました。 女で苦労したんだよなぁ って 撮影技術や脚本については文句ありません。いろんな見方があっていいんですよ。だから8点! 【亜輪蔵old】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-01-30 19:13:47) |
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18.予備知識なしで見ましたが、面白かった。エピソード一つ一つがとても軽快というかなんというか、とにかくだれずに見れました。こういうエピソードで見せる映画は好きなのです。 ラストの意味はそれほど難解じゃないです。 |
17.「薔薇の蕾」。これが何を示すのかは最後のシーンで、「あっ!」と気づきましたがそれ以上の深いところまでは無理でした。色々な事を参考にしてみたら確かに名作と言われるだけのことはあると思います。2回目観たらこの作品の完成度の高さ、「薔薇の蕾」の本当の意味が心に響くでしょう。それにしてもレベルの高い高い・・・。 【アルテマ温泉】さん 8点(2004-05-30 12:19:36) |
16.《ネタバレ》 皆様ごめんなさい。この映画、最初に観てからもう20年くらいになりますが、ぜんっぜんっ違う解釈をしてた…いまあまりに解釈が違うんで唖然としております。「その生涯を社会という雪道で一人遊び続けた、永遠の少年の物語」そう思ってました。だから、割と人生の哀愁とかを感じる事がなくて、カンシャクを起こすケーンを見ては「あー子供ってこんな風にぐずるよなあ」とか、ウェルズの観察眼の鋭さ、舞台設定の巧さに感動してた。そしてその金満孤立主義が(ハーストという形を取って)アメリカに蔓延しつつあった時代。オイラ的には苦悩の国のアイルランド人・ウェルズから見た、アメリカ文化の若々しさ・未熟さを愛憎交えて描いているように見えてます。(追記:などと書いてから、O・ウェルズがアメリカ人だったのを知った。ダブリンの劇場でデビューしたというキャリアは偶然だったのか…) 【エスねこ】さん 8点(2004-05-02 02:58:12) (良:1票) |
15.映画はあまり詳しくないのでなぜ評論家の評価が高いのかよくわからなかったけど、最初にキーワードを出して、観客をひきつけておき、ラストその意味はなかったと思わせて実は・・・って展開は単純に上手いと思った。自分の中では何度も見れる作品ってよりは、何度か見て分かる作品という感じだった。 【ボーリック】さん 8点(2003-12-18 00:23:55) |
【虎尾】さん 8点(2003-12-13 00:49:46) |
13.有名なんで見ておこうと思い見ましたがなかなかNo.1とは言いませんがいい映画でした。ローズバドが何か解らなかった人は面白くないでしょうね。私の最後の言葉は何にしよう。 【亜流派 十五郎】さん 8点(2003-10-20 00:00:56) |
12.映画に「革命」を起こしたと言われる本作ですが、ここのレビューでは結構シビアなコメント&点数の方も多いですね…。確かに60年以上前の作品を今初めてみる時、ぼくたちはいろんな情報だの先入観だのにとらわれすぎて、逆に作品そのものが見えにくくなっているかもしれない。だから「どこが映画史上の最高傑作やねん!」と反発したり、「古臭いだけじゃん」と思ったり、「やっぱりパンフォーカスの映像や、ち密な構成など、古典的名作はスゴイっ!」と知識の後追いで満足したり…と、ちょっと映画そのものから離れて評価が下されすぎるんでしょうね。(それにしても、ざっと他の方のレビューを拝見していたら、途中になにか論争めいたコメントがチラホラ…。何があったのかなあ。その「発端」となったコメントは削除されたんでしょうか? なら、ちょっと残念な気も…)。あ、前置きがいささか長くなりました。ぼく個人は、「今見ても十分に面白いやん!」と、そのたたみかけるようなテンポとハッタリ度満点なセット、若きウェルズの堂々たるカリスマ的演技に、感心させられました。ただ、オーソン・ウェルズ作品としては、『オセロ』や『黒い罠』の方こそを圧倒的に評価する者なので…。いやぁ~、映画(の評価)って本当にムツカシイですねっ! 《追記》蛇足めいて恐縮ですが、この作品でウェルズが駆使した映像手法は、例えば「パンフォーカス」にしても決して彼の「独創」ではありません。すでにジョン・フォードやウィリアム・ワイラーといった監督が、部分的にしろ本作以前に試みていたいたものです。ウェルズは、それらの作品の撮影監督だったグレッグ・トーランドを起用することで、先人たちの手法をより徹底化した。そういった意味において、ウェルズの「天才」をやみくもに賞賛するんじゃなく、この「若く才能にあふれ野心的な」新人監督にふさわしいデビュー作だとぼくは評価したい。そして、これが「映画史上の最高傑作」とおっしゃるぶんには異論はなくても、ウェルズが「これ1作のみ」みたいに言われる向きには断固反論したいです。ウェルズは、本作の後にも素晴らしい映画を撮った。ある意味、このデビュー作以上に真に「天才的」な映画だって何本もあるんだ…と。 彼のキャリアは、この1本で「終わった」わけじゃない。そういった意味も込めて、ぼくは「8」評価にしました。 【やましんの巻】さん 8点(2003-10-17 16:58:10) (良:5票) |
11.《ネタバレ》 初めて観た時は「何がそんなに凄いねん!?」と関西人でもないのに関西弁で叫んでしまいましたが、何年か振りに見直してみると確かに凄いんです。冒頭の一面雪景色かと思ったら突如カメラがズームバックしてスノードームへと移り変わるオープニングから、全編に亘って繰り広げられる徹底したパンフォーカス撮影、少々やり過ぎなんじゃないかとさえ思える影を多用した照明配置と、このワンシーンを撮るだけでも相当時間掛かってるんだろうな~というスタッフの影の苦労が窺えます。ただ正直言って個人的にストーリー自体は面白くも何ともない…とまでは言いませんが、『アビエイター』のハワード・ヒューズ氏同様、アメリカの富豪のやることには付いていけません(一応こっちはフィクションですが)。この映画の実質上の主人公である記者トンプソンの「私にはケーンが哀れに感じる」という言葉には同感です。結局ケーンは数多くの大事なものを失い、その中でも"薔薇のつぼみ"は取り分け大きくて重要だったということでしょう。とりあえず富と名声さえ手に入れれば人生の"勝ち組"(この言葉大嫌い!)とかになれると思っている人々に是非観て頂きたいですな(笑)。 【かんたーた】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2003-08-28 17:51:24) (良:2票) |
10. 最初にこの映画を見たのは、確か20才を過ぎて少しの頃だったかな。「薔薇の蕾」の謎に惹かれて、すかっり夢中で見てしまった。 映画の途中から、主人公の孤独はきっと幼い頃に引き裂かれた家族との関係にあるのだろうと思っていたから、最後に橇に描かれた薔薇の蕾が見えたときには、思わず感動だった。 しかし40才を過ぎてもう一度見たときには、私の中では普通の映画になっていた。20才のあのころだったから良かったんだろうな。 【kan】さん 8点(2003-03-24 17:14:49) |
9.白黒映画というのはなれなくて、初めはイライラしながら見ていたけど、じわじわと続きへの興味をひきたてる映画だと思った。ケーンの悲しい生き方が魅力的。ラストの展開がはっきりしなかったところが嫌だという人もいるみたいだけど、私はむしろそういう風に終わって良かったし、そこが斬新な所だと思う私はわりと好きな映画だけど、「史上最大の名作」と呼ぶのはやっぱりちょっといきすぎだ。アメリカの映画評を見るたびにそこがいつも疑問に思う。 【kyo】さん 8点(2003-03-20 16:08:27) |