1.《ネタバレ》 なかなかいいですねえ。このセンス私は好きです。
カルーソっていうと、「テイキング・ライブス」なんてどうにもならん駄作しか知らなかったが、いいじゃないですかこの感じ。これが本領ならなんで「テイキング…」なんて暗~い路線に走ったのだか。
この感じでいいんですからこの人はこれで押していったら固定客がつくはずです。道を間違ってはいけない。
アラを探せばいろいろあるだろうが、とりあえず妻の復讐という手垢のついた動機を持ってきたことはバツである。アメリカ人はなにかというとそれなのだ。よっぽど妻に先に死なれることが怖いらしい。
「復讐の話にしよう」「で、動機は」「そりゃ妻か子の殺害しかない」というノリで企画をするのはもうやめましょう。インディアンはもう襲ってきませんから。
それはそれとして、工夫に富んだ独特の見せ方は良いです。この作り手はボケと突っ込みが良くわかっていますね。ヴァル・キルマーがひたすら突っ込み役としてリアクションをし続けるので、ドノフリオをはじめとしたジャンキーたちがどんなに行き過ぎても観客を置いていってしまうことがないのです。これがなかったらかなりツラい映像になっています(ゴンドリーの「ヒューマンネイチャー」のようなことに)。
そしてまた、キャストの渋いことといったら、通好みの2番手スターがいっぱいです。
アクが強すぎて映っている時間を短くされがちなドノフリオ、言わずもがなのガスマン、ブレイク前のサースガード(といってもブレイクしたのかどうか微妙)、陰のある女といえばのデボラ・カーラ・アンガー、最近はTVドラマで活躍の遅咲きヒーローのアンソニー・ラパリアなど、「う~ん」と唸らずにはいられない俳優陣だ。
特にドノフリオをセーブさせず思い切りやらせたうえ使いこなしたところは見事。これもヴァル・キルマーのリアクション芸があってこそ。
ただしキルマーは減量に失敗したと思われ、どうにもこうにも健康的なガタイの良さが気分を下げてしまう。ドクロの指輪とかモヒカンとか、パンクが似合わないんだよなあキルマーは。
役柄に合わせてちゃんと体重管理しましょう。クリスチャン・ベールほどやれとは言わないけどさ。