3.TV用に製作された作品ですが、これは映画館で見たらいいだろうな。
雄大な西部を行く500頭の馬と、遥かなる旅路の様々な人間模様を大らかに描く。
叔父と甥、そして序盤にもう1人、音楽家を志す若者が仲間に加わる。
いい具合に不器用で強く、いい具合に優しく紳士であるこの男達が実にいい。
売り飛ばされようとしていた所を彼らが助けた中国娘達が旅に加わり、更に他の町でも仲間が増える。
仲間が増える出来事の度に彼らの魅力が増す。最初は彼らにも怯えていた中国娘達が次第に綺麗に見えてくる。
その旅の道程は現代が舞台のロードムービーと比べるとテンポは良くありませんが、ゆったりとした3時間が実に心地いい。
しかし、西部開拓の時代も現代も、全く変わることの無いアメリカン・ロードムービーの風景がある。
それはアメリカン・ロードムービーの、僕の好きな風景である夜の焚き火とその語らい。
音楽家を志す若者のフィドルに合わせて皆で踊るシーンは特にお気に入りのシーンです。
こんな平和な風景だけではなく、この時代ならではの悪者も出てくる。そのクズっぷりも良かったと思う。
旅の仲間の中には命を落とす者もいる。ウォルター・ヒルらしいハードさも加わります。
本作は何と言っても主演ロバート・デュバルの映画。
「あなたは不幸よりも幸せになることの方が怖いのね。」この終盤の台詞を見事に体現していました。
いかにも不器用そうな甥役のトーマス・ヘイデン・チャーチも良かった。ささやかに挿入される叔父と甥、それぞれのロマンスも。
久しぶりにグレタ・スカッキが見られたことも嬉しかったです。