1.悪女と聖女の両面を演じさせて女優を売り出すパターンが
当時からあるが、これはその男優版である。
エドワード・G・ロビンソンが小心で実直なサラリーマンと
凶悪なギャングを巧みに演じ分ける。
双方がそれぞれの役を演じるシーンもあるので、計4パターンの芝居となるが、
善人役の愛嬌のある芝居が実に萌える。鏡への反射を使ったギャグや、
酒に酔って社長室から出てくる場面の陽気な振る舞いなどは傑作だ。
この後、その対照的な二人が同一ショット内で共演することになるのだが、
このツーショットがどのような仕掛けで撮られたものなのか。
その違和感のない画面つくりには様々な知恵や工夫が凝らされたのだろう。
様々な箇所でシーンの省略が効いていて、テンポもいい。
欲をいうなら、後半もっとジーン・アーサーの活躍が欲しかった。