4.《ネタバレ》 『ザ・都市伝説』的な1作目とは、がらりと作風の変わった2作目。その変わりようは驚くほどで、はじめの20分くらいで、一度タイトルを確かめたくらいホラーの雰囲気まるでなし。最後まで見ると確かにホラーなのですが、どちらかというと一人の少女と幸せな一家の消滅を描いた悲劇のドラマ。
例えば、クライマックス直前で、真弓がヨタヨタと歩いているシーンが遠くから映し出されます。普通のホラーであれば、ここは映さず、『埋めたはずの真弓が突然店の外にいる』っていう演出を選ぶのではないでしょうか。なぜならそっちのほうが絶対びっくりするからです。でもあえて、真弓がヨタヨタと歩くシーンを入れちゃう。それはなぜか。このシーンをみると、背筋がぞっとするような恐ろしさは感じるけれど、その一方でこの不憫な少女がかわいそうでしかたがなくなってくるのです。つまり、ホラーである以前に、悲劇のドラマであるという脚本を重視しているんじゃないでしょうか。
この作品の前半と後半の温度差は凄まじいものがありますが、この作品の秀逸なところはその温度差を極力感じさせないところです。気付けば全員が不幸の波に飲み込まれ、辺りに血のにおいが漂っちゃっているのが凄い。青春ドラマからの悲劇。悲劇からのサスペンス。サスペンスからのホラー。これだけのめまぐるしい展開を違和感なく見せきっています。
最後に個人的な感想を言います。美容師のほうの姉や陸上部の棒読み先輩は、真弓にずっと優しくしていたのだから、同じ殺すにしてももう少し葛藤を感じさせてほしいです。ただのザコキャラ扱いなのが悲しい。その一方で、真弓を迫害したクラスメートその他大勢のモブキャラたちになんのお咎めもなしってのも、なんか不満が残ります。
それにしてもラスト、口裂け女の第一発見者になるであろう少年から、噂話へと切り替わるのが、ホラーとしてもドラマとしても最高の終わり方ですね。