3.《ネタバレ》 製作者の意図がはっきりとわかる作品。観てる人を楽しませるとかスッキリさせるつもりなんかさらっさらないですね。ここまで徹底的にやられると潔いとさえ思う。その首尾一貫した姿勢に脱帽。
かなりネタバレますが、最後の最後まで救いようのない話でしたね。人よりは多く映画を観てきた自負はありますが、こんな展開でやられたのは初めて。どこかでハッピーエンディングへと話がシフトしていくんだろうという自分の予想を完全に裏切ってくれました。救いようのない話というだけなら他にもいくらか思い浮かびますが、ここまで淡々淡々と、特に大きなBGMも無く、シーンによっては10分近くノーカットでゆっくりと見せ続けるという手法はある意味で新鮮でした。
おそらく大方の人が上述の私のように、どこかでどんでん返しがあると思っていたと思います。それが全くない。最後まで犯人たちの思い通りに進みきったというサスペンス。
この作り方からもわかるように、この映画は観てる人を真正面から挑発しています。いきなりカメラ目線でこっちに喋りかけてきたり、仲間が殺されても話そのものを巻き戻して無かったことにしてしまう始末。映画を通して「どうだ、気分悪いだろう??」って言われてる気分でした。
でも世の中で起きる犯罪なんて本当にこんなものなのかもしれないと思わされました。カメラ目線や巻き戻しは別にしても、こんな風に犯罪者に踏みにじられるだけ踏みにじられて終わってしまう犠牲者だって現実はいるんだろうなと、そんなことを思わせられてしまった。
ある意味私には革命的映画でした。受け入れられない人もたくさんおられるかと思いますが、映画好きな人ほど観てみてほしいと思います。