3.人気が出たテレビアニメを劇場版に..というアニメは1977年の宇宙戦艦ヤマト(劇場版)が最初だったと思います。
中1のときにそれをリアルタイムで観て以来実に32年。数え切れないほど製作されてきた「テレビで人気が出たから作ってみた劇場版」アニメの中に正直「コレ!」というものは一本もなかったと思っています。別の言い方をするならすべてが「テレビでいいじゃん」レベル。あるいは「劇場版でぶち壊し」。
そんなひたすら無駄な32年に及ぶ「テレビを劇場化しましたアニメ」史の中でついに出会った「テレビで好きだった人があらためて観る価値のある劇場版」。それがこれじゃないかと(主観)
出会うまで32年もかかってしまった僕は今や加齢臭がぷんぷん。32年..長いっす。でも死ぬ前に出会えてよかった。
テレビの単純な再編集や安直なダイジェストではなく、かといってまるで違うものをつくるものでもなく、映画という枠を考えた上でキャラクター、ストーリーの再構成をきっちりと行ない、テレビを観ていた人があらためてwktkしながら2時間の長尺を楽しめるようにするというのは相当に難しい事なんだな、と、32年目にしてついに出会った成功例(つまりこれ)を観て思いました。今回は、薄幸の銀河の妖精その人を明確に主演に据えたのも成功した理由の一つでしょう。
ちなみに「テレ(中略)劇場版」で中途半端に「映画として完結したものを作ろう」なんて考えても失敗するのは過去の例を見てもあきらか。この映画は「ここでライオンktkr!!」と思える人でないと楽しめないモノになっていますが、逆に言うと「ここでライオンktkr!」な人には猛烈に楽しめるモノになってるわけで「テレビ版フアンへのサービス版」的側面の強い「劇場版」としてこれは全くもって正しい方向性でしょう、うん。
この映画で、唯一残念なのは「作画」。破綻してるわけではないですが「テレビ後半で作画がマシな回」レベルの作画を劇場のスクリーンで見せられるのは正直厳しいです。時間や予算はそれなりにあったと思うのですが..そこは本当に残念。が、逆に言うと文句をつけるのはそこくらい。それくらい見事な「劇場版」だったって事ですね。
そうそう(アニメフアンという特殊な客層だというところもあるんでしょうが)エンドクレジットになっても帰ろうとする客が一切いない映画は久しぶりでした。