1.《ネタバレ》 他国のことは知っている様で知らないことが多いのものですが、とりわけ日本人にはアメリカ大統領選挙ほど判りにくいものはないと言っても決して過言ではないでしょう。なかなか決着が着かなかった2000年大統領選ブッシュVSゴアのフロリダ州での票差をめぐる“死闘”を真正面からとりあげた本作はとてもTV映画とは思えぬ力作です。 まず感想としては、日本でも一票の格差が憲法問題になっていますが、アメリカの大統領選挙システムはどう考えてもおかしい、日本の問題なんて可愛いもんだということです。そもそも投票用紙がマークシートで候補者名の横に穴をあけるというやり方で、なんで名前を書く方式じゃないのか不思議です。始めから読み取り機で集計するのが前提になっているからでしょうが、けっこうアメリカ人には「字が書けない」人が多いということも関係しているのかも。そして何と言っても驚かされたのは、重犯罪で前科のある人には選挙権がないということ(州によって違うみたいですが)。 両陣営とも選挙参謀が弁護士だらけなのがいかにもアメリカ的ですが、製作総指揮シドニー・ポラックだけあってケヴィン・スペイシーはじめいい役者たちが緊迫した演技を見せてくれます。中でもこの役でゴールデン・グローブ賞をゲットしたローラ・ダーンが出色で、ド派手な化粧で頭カラッポなフロリダ州の州務長官キャサリン・ハリスを演じて強烈な印象を与えてくれました。 決して判りやすいストーリーではありませんが、並みの劇場公開作品など足元にも及ばないキレ味を持っているのは確かです。