17.《ネタバレ》 バージルは刑事としては疑いようのない凄腕。でもこの時代、白人たちから黒人の存在は軽視されていて、例え能力があってもそれは妬みや警戒の対象でした。その信頼を勝ち取るまでには、そもそものスタート地点が大きなマイナス点からというハンディキャップがあるのです。それでも彼は不屈の精神で立ち向かい、やがて真の力で事件を解決に導いた。S・ポワチエという名優が演じた、バージルという男のしなやかな佇まいと瞳の強さに僕は圧倒されて、最後は彼とR・スタイガー(警察署長)の友情に胸が熱くなりました。本作の"夜"とは、黒人にとって混沌とした暗黒の時代という、もう一つの意味合いも含んでいると思います。だから事件の解決とともに迎えた夜明け、それは長かった暗黒の時代の夜明けでもあると思うのです。負の歴史を鑑みれば、本作一作を以て手打ちにしようというには都合がよすぎますが、これはあくまでそれにつながる第一歩。これからの明るい未来、そして人種を越えた力が手を取りあう大きな可能性を予感しました。 【タケノコ】さん [DVD(字幕)] 8点(2017-09-23 21:37:57) |
16.当時としては斬新で、その後のお手本となるような要素がたっぷり。 アカデミー賞受賞も納得の出来栄えで、いろんな作品にも影響を与えていることがうかがえる。 【飛鳥】さん [CS・衛星(吹替)] 8点(2017-01-23 22:09:08) |
15.《ネタバレ》 アメリカという国の抱えている大きな問題、悩みというものがこの映画を見ていると感じずにはいられなくなる。映画が始まって直ぐに起こる夜の殺人、偶々同じ頃、近くの駅で母親に会う為に列車に乗るのを待っている男、この映画の主人公である黒人警官を大金を持っていて、自分達白人とは違うからという理由から犯人にしようとする白人警官、人種が違うだけの理由で差別を受けることの許せなさが見ていてとにかくやるせなくなる。この映画はサスペンス映画ではあるけど人間の持っている偏見、それを真っ向から正々堂々と描いているという意味で単なるサスペンス映画ではない。白人と黒人、お互いが意見がぶつかりあうことで生まれる感情、そんな中で次第に黒人であるシドニー・ポワチエ演じる刑事に対して協力しあい、殺人事件を解決しようとしていく姿に例え人種は違っても同じ人間である。同じ職業である者同士、助け合うことによって得られる友情、それは白人警察署長のバージル(シドニー・ポルチエ)に対して言う「驚いた。俺と考え方が全く一緒だ」の台詞に込められている。ラストの駅の別れのシーンも二人の友情を物語っている。それにしても作品全体の気だるい空気、夏を感じる映像美といい、一度見たら絶対に忘れられなくなるほどの熱気で充満している。タイトルに偽りなしの夜の映画でもある。 【青観】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-05-10 20:58:46) |
14.《ネタバレ》 都会の黒人敏腕刑事とめったに殺人事件など起こらない田舎のいいかげんな白人警察官たちの対比が面白い。まだ黒人人種差別の根強い田舎街で屈辱感に耐えきれない黒人刑事と、黒人刑事の協力を頼らざるを得ない白人警察署長の屈辱感の激突は実に見ごたえがある。事件の核心に近付くにつれて黒人刑事に忍び寄る身の危険、黒人刑事と警察署長に徐々に生まれてくる信頼感の描き方が秀抜。犯人の動機を確信する根拠が薄い感じがするのは気になるが、別れのラストは地味ながら爽やかな余韻を残す名シーン。 【きーとん】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-09-18 16:35:11) |
13. なんなんでしょう、このゾクゾクする雰囲気は。2人の芝居に引き込まれてしまいます。2作目を見ようかどうか迷っています。 【映画の味方】さん 8点(2004-01-07 16:25:47) |
12.名作です。 1980年代だったと思うのですが、ソニーが(ビデオの販促番組として) 1社提供で世界の名画をノーカットで放送するテレビの特別企画があって そこでの放送を見たのが最初でした。 (今のようにBSもCSもない時代にはそういう番組貴重だったんです) 「北部の優秀なエリート刑事(でも黒人)」に対し 「ガチガチ南部人の田舎物白人署長」が人種差別的思いで反発しつつ 予定調和的にこっそりちょっとずつ認めていくお約束な展開の映画ですが、 途中お約束をしっかり描ききる事で、ラストの別れのシーンは まさに名シーン足りえたんだと思います。 まぁ生粋日本人たる自分にはアメリカのこの南部人種差別の感覚は 本当に理解はしていないはずで、アメリカで見る人が見たらどういう感想なんだか わからないのですが。 ちなみに「続」のほうは深みもなんもないしょーもない映画でした。ウーム。 【あばれて万歳】さん 8点(2003-12-12 11:16:30) |
11.シドニー・ポワチエの目がいいね。ロッド・スタイガーってああいう差別意識のある役をやらせると輝いている気がします。クインシー・ジョーンズの音楽といい、レイ・チャールズの歌といい、すごくいいですね。 【オオカミ】さん 8点(2003-11-30 16:54:52) |
10.最初はバージル(シドニー・ポアチエ)に感情移入しながら観ていましたが、最後の方はギレスピー(ロッド・スタイガー)ももう一人の主役なんだと納得しました。ジットリとした熱さを感じるテーマ曲もよかったです。 |
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9.大筋では白人と黒人が一緒に難事件を解決しちゃう、というエンターテインメント作品なんですが、そこに差別問題が絡む紆余曲折が何やかんやとあって、そういう丁寧な作りに好感が持てます。最後のロッド・スタイガーの笑顔が、いいですね。 【鱗歌】さん 8点(2003-08-17 11:49:55) |
8.アメリカの黒人差別はこの頃でもかなり露骨にあった。この映画はポワチエ扮する刑事は差別にも冷静で知的な対応をし、差別的だった南部の保安官の見方も「こいつ、なかなかやるじゃないか」と変わってくる。ポワチエの存在感が見事で、R・スタイガーも反感と敬服の微妙な心の動きをうまく見せた。社会派としてのN・ジェイソンを代表する良心的な作品であると思う。 【キリコ】さん 8点(2003-05-30 21:46:57) |
7.60年代のアメリカ。いわゆる黒人が勢力をもたげ始めた頃で、白人と黒人の共学が認められたのもこの時代。平和的人権運動のリーダー・キング牧師が暗殺された同じ年に製作された本作には、黒人に関心を持ち何がしかの後ろめたさを感じる白人たちの姿というものが、色濃く投影されていたように感じる。まさにこの時代に出るべくして出た映画で、これ以降、黒人と白人の立場が逆転したような作品が数多く作られるようになった。そういう意味でもひとつのエポックな作品だったと言える。スーツをパリっと着こなし、頭脳明晰でいかにも都会のエリ-ト刑事という役柄のS・ポワチエの魅力も然ることながら、彼の捜査に対する決定的なレベルの差と人間的な大きさに、当初馬鹿にしていたものの徐々に認めざるを得なくなり、やがて敬意を抱くようになる南部の保安官という難しい役どころを、R・スタイガーが絶妙に演じる姿が、もうひとつの見所となっている。 【ドラえもん】さん 8点(2003-05-18 15:47:33) |
6.犯人がかなり意外だったので、普通の刑事モノとしても十分楽しめましたし、数々の人種差別にも屈することのない主人公の生き様を描いたドラマとしてもかなり良い映画だと思いました。最初は、お互い反発しながらも、少しずつお互いの存在を受け入れようとしはじめ、ラストでは主人公と署長がほんの少しの笑みを見せるシーンがとても印象的でした。 【はがっち】さん 8点(2003-03-12 02:31:00) |
5.スローなテンポですが、丁寧に作られた作品と感じました。その上でポワチエとスタイガーの化学反応が成功した名作と思います。 【モリブンド】さん 8点(2002-12-30 19:30:19) |
4.「先生よゥ!」「元気でな。負けんなよな。」テレビの吹き替え版の方が、なぜか感動的でした。私が見た時は、シドニー・ポワチエが田中信夫、ロッド・スタイガーが内海賢二だったと思います。このラストシーンは、その後『パピヨン』『戦場のメリークリスマス』に脈々とつながってゆく歴史的ラストシーンですね。 【新加坡指令】さん 8点(2002-12-14 22:20:33) (良:1票) |
3.こんなに古い映画でワシ的には知名度の低い作品がDVDにまでなっている??きっと何かあるに違いない!と思ってピックアップしてみた。ちょうどこの時代はハリウッドにとって経営難の時代のはず。「え?そんな時代があったの?」っと思う若い世代の方もいると思う。テレビがどの家庭にもあり、映画館に足を運ばなくなった時代である。スタジオ側はさまざまな試みをした。【ワイド・スクリーン】【立体音響】など当時テレビでは不可能な技術を見せつけて客寄せに必死になっていた時代で、そんな時期に今回の映画は製作されている。[ベン・ハー] [ドクトル・ジバゴ] [クレオパトラ] [アラビアのロレンス]などの大型映画はそれなりに成功したが、観客はあまりにも自分の人生とかけ離れた夢物語に飽きてきた時期でもあり、スタジオ側も客離れ復帰に疲れてきた頃。1969年に製作された[イージー・ライダー]はそんな中で生まれた。何の飾りっけも無い等身大の主人公に観客は魅了された。アメリカン・ニューシネマの金字塔である。1962年から始まったベトナム戦争、68年のキング牧師暗殺、ケネディの弟ロバートの暗殺など壁にぶち当たりまくっていたアメリカ。そんな激動の時代とシンクロして沈んでいくハリウッド界に位置する今回の映画はさまざまな意味で見る価値はあった。ミシシッピーで黒人と白人といえば今でも映画になる素材はたくさんあるが、この時代にさらりと白人をアホ扱いしていて面白かった。公民権法が制定された直後の作品であることも覚えておかないといけない。アホ扱いといってもどちらの人種にも気を配った脚本で、人種問題を前面に出してはいない。どちらかというとテーマは別にあり、肌の色を超えた友情のようなものを感じ、観ていて清々しかった。まあ、人種問題があるから友情が映えて見えるのかもしれないが。主役のシドニー・ポワチエは59年の[ベン・ハー]ではキリストの十字架を一緒に背負う役を友情出演?したり、63年度のアカデミーで黒人は初の最優秀主演男優賞を得ている。近年の作品[ジャッカル]でも渋い演技を見せている。この映画でも素晴らしい演技を見せている。今で言うとデンゼル・ワシントンのような貴重な黒人俳優だったことが分かる。当時のポワチエが出演している他の映画を探したくなるほど魅力的な俳優である。[評決のとき] や [ミシシッピー・バーニング] のような作品も面白いが、こんなミシシッピーものもあるんだなぁっといった感じ。ちなみにこの作品は作品賞、主演男優賞、脚色賞、音響賞、編集賞でオスカーを取っている。 【マヒコ】さん 8点(2002-02-15 21:07:22) (良:1票) |
2.Mrs.Sozeさん、シドニー・ポワチエはハリウッドで初めて成功した黒人俳優なのでそういう存在らしいですよ。うちのママが大ファンなので小さい頃、何度も再放送見てたなあ。 【ひよこ】さん 8点(2001-04-22 01:35:51) |
1.この作品を観たのは2回目で、1回目は子供の頃だったんで、とにかく退屈な刑事ものって言う印象しか残っていなかったんですが、改めて観てそれが大変な間違いだと分かりました。ストーリーの主体になっている事件はそれほどでもないのですが、時代背景とこれを製作した当時を考えると、こう言った作品を手掛けること自体が問題だったのでしょう。個人的には、貫禄あるシドニー・ポワチエの演技が印象に残りました。オスカーも納得です。「白人と黒人では刑期が違うんだ」って台詞がこの映画を象徴しています。 【イマジン】さん 8点(2001-04-03 12:20:48) |