2.《ネタバレ》 随分と昔、東南アジアの国へ旅行に行った時に、その国の写真フィルムを買おうと思ったら、そんな物は無いと言われ驚いたことがある。我々は大抵のものは国産品があると思っている。無いのは石油と旅客機(YS-11が現役ならなあ)くらいではないだろうか?
そう、日本人というのは、とにかく自国の物を求めるし、自国で作ろうとする。なんでも自分で作らないといられない、というモノ作り大国の気概、素晴らしや。
そんな主人公、豊田喜一郎の幼少時の自動車への興味から、工学を学び自動車を開発する過程が丁寧に描かれており、製造業に携わるものとしては、大変に面白く見られた映画である。
特に論理的・基礎的な技術と同時に、製造技術の壁も実際の製品開発には重要なファクターである話、会社というものは人々の生活を背負っているのだという事に悩む経営者の話などもまた、興味深い。
さらにこれも前の話だが、数十年ぶりに光岡自動車がメーカーとして認可されたというニュースを、不思議と思ったその訳もこれで理解できた。
完成直後の役人との密約や政治的駆け引き、とりあえず作っちまうというスタンスなど、ちょっとどうなのかと思う所もあるが、行動力と情熱の人というのは伝わってくる。
色々ともっと知りたい部分もある。シボレーのエンジンパーツと入れ替えてみるって、デッドコピーを作っているんだろうか?とか、60馬力を超えた時の原因と対策は何だったのか?とか、箱根をヒーヒー言って押しながら超えたのに、あの電報はいいのか?とか、ニッサンはライバルじゃなかったのか?とか。でも、細かいとこだから、いいのだけれど。