6.《ネタバレ》 改めてロバート・ゼメキスの映画作りの上手さを思い知らされる。
ゼメキスの素晴らしいところは、すべてきっちりと画で説明するところで、
役者もそういう芝居をしなければならないし、
そういうものが撮らえられている映画は、やはり問答無用で面白いのだ。
冒頭からの墜落シーンのカット割や編集が卓越され過ぎていて、もう参った。
そして墜落の瞬間を客観で見せる上手さ。
墜落している瞬間の同時進行の中では決して見せない。
テレビの中、結婚式だかをやっていた誰かが偶然撮影した映像、
そして何よりもあのタイミングだということだ。
墜落の瞬間を、その飛行機を操縦していたパイロットが見るのと、
時を同じくして観客も初めて見る、そこに大きな意味がある。
冒頭も女のケツをやたらと舐め回すようなショットを撮り続けているわけだが、
それだって最後の最後でのデンゼル・ワシントンの決断への伏線であり、
冒頭の女の印象を強く残すことでの、あの決断なわけである。
ああ、そしてホテルでの酒の小瓶を手にする瞬間のハイスピード撮影の上手さよ。
置く、小瓶、そして手が入る、取ってフレームアウト、このワンカットのサスペンス。
なんて素晴らしいのだろうか。
飛行機の墜落と人生の墜落、勿論あの薬物中毒の女のことも含まれているわけだ。
一機の旅客機を不時着させた男は、二度と飛ぶことは許されないわけだが、
人生における新たなフライトが始まるストップモーション。
今は亡きトニー・スコットとの作品といい、デンゼル・ワシントンには、
ストップモーションでの終幕が本当に良く似合う。