7.《ネタバレ》 人物設定といい、あのカッコイイ音楽といい、色々と思わせぶりな映画ですが、結局のところドンパチで全て解決してしまっているので拍子抜けの感があります。しかしながら誘拐するシーンにおいては、ライアン・フィリップが入り口からの長い通路を徐々に怪しげになりながら歩いてきたり、あるいは徐行による車の追跡も画面の奥へ奥へと逃げて行ったりと、奥行きの使い方が意識されていて面白いです(他にも何度か見られる)。 そしてモーテルでの銃撃戦も狙撃を取り入れることによって俯瞰で見せる工夫がされていますし、ラストのじい様たちとの西部劇のような大銃撃戦も人物の位置付けがしっかりしていて視界良好です。これだけ距離感を出しているのは近年の作品では珍しいと思います。ただ、惜しむらくは銃撃戦であるのにやや迫力に欠けていることで、鬼気迫っていない「ワイルドバンチ」のようです。 それにしても白ポロシャツにムキムキアピールのジェームズ・カーンに敵うわけない。 【ミスター・グレイ】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-12-01 18:32:46) |
6.この映画はアクションでもサスペンスでもなく、こってこてのバイオレンスなんですよ。アクション映画のボリュームとも、サスペンス映画の「ほ~」とも違う、苦みばしったバイオレンスの風味を感じる映画だと思います。無駄にややこしい話が感情に歯止めをかけてアクションを盛り上げない上に、その話すら尻切れとんぼで完結せずサスペンスとしても成立していない。この映画をアクション、もしくはサスペンスとして見れば、アラだらけで中途半端な作品と感じられます。が、この映画の脚本には見逃せないほど素晴らしい部分がいくつかあるため、そういった手落ちと感じられる部分すら、もしかしたら監督の計算づくではないかと思います。必要以上に登場人物に感情移入させてはそこいらのアクション映画と同じになってしまう。だからこそ話をややこしくしてあえて盛り上げることを抑制し、このクールな苦味を味わって欲しかったのではないかと。この映画の素晴らしい部分とは、まず第一に銃撃戦へのこだわり。誘拐シーンのじりじりとしたあの緊張感は、撃ちまくるだけのアクション映画とは完全に一線を画します。走って逃げるとか、勢いで振り切るといういい加減なことはせず、ゆっくりと進み、時に立ち止まって常に追っ手を牽制しながら、徐々に間を空けていくという前代未聞の逃走劇です。他の映画ではまったく見られない奇妙な構図なのですが、「実際に銃撃をやればこんな感じになるのかな」と妙に納得させられます。クライマックスの大銃撃戦もただひたすらかっこいいだけではなく、マガジンをきちんと交換していたり、銃を撃つときの反動が見る側にも伝わってきたり、弾が当たった時は痛そうだったりと、とにかく描写が細かくてよく考えられてるんですね。そこいらのアクションとは別物を作ろうとしていたことが伺えます。そしてもうひとつの素晴らしいところはおじさんたちのかっこよさ。ジェームズ・カーンの「老いぼれを見たら修羅場を生き延びたと思え」の名セリフが示すように、おじさん達がやたらかっこいいんですね。ハゲ散らかして腹の出たおじさん達がとにかくプロフェッショナルで、そこいらの映画のヒーローとはまったく違うかっこよさが新鮮でした。この2点により、この作品は誰でもわかる派手な映画ではなく、玄人がじっと見てこの風情を味わう映画を目指したのではと私は思います。もっと評価されてもいい作品ではないでしょうかね。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 8点(2006-06-08 00:11:55) (良:3票) |
5.案の定、惨々たる評価ですね(笑)もっち~さんの意見に概ね同意です。予告編を観て、「計画は完璧なはずだった」というコピーにシビれ、ベニチオ・デル・トロとジュリエット・ルイスというキャスティングにシビれてハナっからメロメロ状態で劇場に足を運んだわりには、生来の素直な性格が幸いしてか、あっという間に「これはどうやらチープなバイオレンスアクションコメディらしい」と頭を切り替え、一度二丁拳銃でカッコよくキメるデル・トロが観てみたいぞ。という願望は叶えられたのでけっこうゴキゲンで帰って来たのを覚えています。微妙におもしろつまんない映画ですが、ライアン・フィリップが最後までイマイチ信用できなかったことが自分にとっては適度なサスペンスになりました。それにしてもあそこまで出たとこ勝負というか、無計画きわまる「誘拐」に、どういう経緯でああいうコピーがついちゃったのか、これはもう映画史に残るナゾだと思います。完璧な計画だったら、大富豪の身辺ぐらい調べておけって。邦題が「無計画犯」とかだったら、もうちょっと大勢の人が幸せになれたんじゃないでしょうか。「なぁ~にが『緻密な心理戦』じゃいっ」と頭をかきむしるか、「思ってたのと違う映画だなぁ~」と素直に頭を切り替えるか、対応の違いで評価に差が出る作品だと思います。笑いに入るとけっこう楽しいですよ。 【anemone】さん 8点(2003-12-14 02:20:18) |
4.《ネタバレ》 何も予備知識を入れないで見たせいか違和感なく見れました..どうせB級映画だろう..くらいにしか思っていませんでした..が!とんでもない、なかなかの出来です!この作品は、目の肥えている映画ファンなら分かるはず..いい仕事してます!まず、誘拐するシーン..2人の身のこなし、連携が絶妙..誘拐直後の車による逃走では、途中の路地で緩やかな下り坂、車から降りたり乗ったり..2人は、ただのチンピラではなく..プロ顔負けです~ さらに、人質を奪われ撤退、かと思わせて丘からライフルで奇襲..応戦する拳銃(短銃)の扱いは、目で狙いを付けるのではなく、胸のあたりで銃口を上に向けて発砲..これは放物線を描いて丘の上に到達するのを見越しての行動..すべてが理論的に計算された玄人好みの細かい演出です!すばらし~い!..脚本もイイですね~ 説明的なシーンが適度で、ちょうどイイ!(映画はこうでなくてはいけません..) 一つ気に入らないのは、結末..年寄り組の圧勝(若い?2人にもお慈悲を..) もう少し捻ってほしかった..(減点1) でも、「この家業で年寄りを見たら気を付けろ..」はカッコ良かった.. 安っぽいドラマにど派手なアクション..そんな映画より遥かに私は好きです! 【コナンが一番】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2003-12-08 12:34:40) |
3.「誘拐犯」のCMを見ると、「計画は完璧なはずだった・・・。」って言ってます。しかも、「ユージュアル・サスペクツ」のクリストファー・マックァリー脚本&ベニチオ・デルトロ主演、とも言ってるのでこのCMを見ると「絶対サスペンスだ!」って誰だって思っちゃうのは当たり前。僕も最初そう思いました。映画を見てビックリ。サスペンスじゃないじゃん!でも、後になって考えてみると、この映画は「誘拐」をテーマにしたサスペンスではなく、「誘拐」というのは単に人と人が銃で争い合う状況を生み出すための設定でしか無かったんですよ。だって、本編を見れば分かるとおりで誘拐に計画性なんて微塵も無いし、何より原題をよく見てください。「The Way of The Gun(銃の使い方)」なんですもの。しかし、この映画を担当した日本の配給会社の社員はこの映画の本質を見抜けなかったんでしょうね。どう見てもサスペンスでは無いのは明らかなのに、C・マッカクァリー脚本でB・デルトロ主演というだけで「ユージュアル・サスペクツ」に続くサスペンスだと思い込んでしまったようです。その結果、付けた邦題は「誘拐犯」で、宣伝文句は「計画は完璧なはずだった」。映画の内容とはこれっぽっちも合っていないんだから、CMに触発されてユージュアル・サスペクツのようなサスペンスを期待した人が面白いと思えるはずがありません。だからサスペンスという前提でこの映画を見た人にとっては正当な評価を下すのが本当に難しい映画なんだと思います。一回見た人は頭をリセットしてもう一度見て見て、そしてこの映画を今一度判断して欲しいです。それでもおもしろくなかったら、ゴメンなさい。 【もっち~(←にょろ)】さん 8点(2003-12-01 14:53:01) (良:2票)(笑:1票) |
2.《微妙にネタバレ有り》感想は普通に面白かった。ユージュアルサスペクツとは別物かな?バイオレンス(銃撃戦)が入ってたし。ダマしたれって部分もないし。でもうまく言えないけど「この部分はなぜこうなのかは自分たちで考えてくれ」的なとこは似てると思った。例えば最後の場面で僕が友達に「あのふたり死ぬとは思わんかったわ。」と言うと友達が「えっ、死んでないんちゃう?」と言った。確かに打たれた後あれだけ喋ってれば生きてたと考えても不思議じゃないような気がする。やっぱクリストファーはすごい!と思った。監督としてもやっていけそう。次の作品も期待したい。その前に誘拐犯がDVDで出たら買って見とこかな。(笑) 【hiro】さん 8点(2001-06-17 21:26:03) |
1.音楽の使い方とか、カメラワークとかが「ユージュアル・サスペクツ」に似てる感じがする。しかし同じ女性として見るに耐えないシーンも多かったなあ・・・。 【ひよこ】さん 8点(2001-06-07 00:20:36) |