4.《ネタバレ》 「1」の前日譚となる未来の戦争から、舞台は見覚えのあるロスへ。
そこから始まる超展開の中、おなじみのセリフが響き渡る。
"Come with me if you want to live!!(生き残りたいなら来い!)"
本来なら、サラを守るために派遣されたカイルがクラブで言うはずの言葉。だが今はこの言葉に従ってついていくしかない。スカイネットとの戦いは、「Genisys」で新たな局面へと突入していく。今までのタイムラインをぶち壊し、より強力なターミネーターを出現させ、もはや何でもありの世界観で重量級のアクションを展開させながら。
思えば、「3」は基本的には「2」のプロットを流用し、「4」は現代をすっとばしてひたすら未来の戦争を描いていた。それに比べて本作は、まるでファンボーイが自分の夢を好き放題詰め込んだようなサービス精神あふれる作風だ。
しかしシリーズのエッセンスはいい意味で十分すぎるほどに踏襲され、なおかつ新起動ともいえる斬新な脚本も内包している。J・キャメロンが太鼓判を押す本作だが、もしかしたら作り手としてこうした挑戦をしたかったから本作を評価したのかもしれない。
また、過去作品では「運命を受け入れる」「運命を変える」といった具合に、運命をテーマにした戦いを描いていた。今回も例に漏れず「運命を突き進む」というテーマに基づいて作られているのも小さな感動ポイントだ。今作では、トリッキーで予測のつかない運命を描くからこそ、このテーマも活きてくる。「ターミネーター」である必然性を、ファンサービスや主演俳優の復帰以外でもアプローチできているのが素晴らしい。
もちろんシュワちゃんの存在感も忘れてはならない。
複数の時間軸を移動する設定も、これは同時にありのままのシュワちゃんを無理なく活躍させられる妙案である。そこを監督がしっかり理解しているから演出にもブレがない。鈍い音が響くガチンコの殴り合い、ことあるごとに挿入されるあのテーマ曲。老いても彼のスター性に陰りナシだ、いつだって僕のヒーローである。
総じて満足度の高い娯楽作品だった。ジェニシスはシリーズの正当な続編であると同時に、熱いシュワ映画に仕上がっているといえる。