2.ファーストを始めとした宇宙世紀もののアニメはすべて視聴済。本作の原作コミックは未読というステータスでの鑑賞です。
プリクェルのコツとは、いかに正編の要素を多く残すかという点にあると私は考えています。例えばスターウォーズEP1,2が否定されて3が絶賛されたという現象についても、ファンはEP4~6で自分たちが愛した世界の再見を望んでいたのに対して、ルーカスは世界観を広げることに固執し、結果、EP4と年代設定が近いEP3以外はファンの眼鏡に叶わなかったということが理由として考えられます。
そこに来て本作ですが、オリジナルキャラクターやオリジナル設定はほとんど挿入されず、ファーストにあった要素をうまく繋げることで物語を構成しており、ファンサービスとしては非常に良くできています。赤い彗星と黒い三連星が連邦軍の艦隊を相手に大暴れをしてモビルスーツ戦時代の幕開けを宣言した冒頭から、まさにファンが見たかった内容となっています。
少年期のシャアも、ファンが連想する通りの個性となっています。口数は少なく不要な話はしないが、必要な場面では自分を殺そうとする大人相手であっても堂々と主張をするという無駄のない性格。これぞシャアって感じです。ザビ家とラル家の対立にしても、彼らの行く末を知っているからこそ楽しめる内容となっており、本当によくできているなと感心させられました。
見せ場の数は少ないものの、ドラマだけで十分に楽しめる素晴らしい作品だったと思います。