9.《ネタバレ》 とてもよくできたアニメ映画。素晴らしい。
だが7点をつけた。
では、あらすじを。
小柄な体で憧れの警察官になったウサギ(女性)が、相棒のキツネ(男)と艱難辛苦をのりこえ、大きな事件を解決して認められた。
イジメや差別のある世界で、理想を目指し努力する、前向きな主人公は美しい。
主人公の性別が女性なので、女性の観客は自己投影する人が多い気がする。
特に新しい学校や職場で挑戦している女性は。
現実で理想を追い求めても、上手くことは運ばない。
だから映画の中だけでも上手く運んで欲しいものだし、運ぶことが多い。
そうしないと客は喜ばないし、創り手は映画を「客が喜ぶように作る」ものだ。
何が言いたいかというと、キャラクターがストーリーのコマにしか見えかなった。
だから7点をつけた。とてもよくできた脚本なんだけど。
ところで、主人公はずっと防犯スプレーを持ち歩く。
あのベルトは皮ではない(メイキング本にそう書いてあった)。
だが現実なら皮だろう。
この映画の世界観では、動物の皮が使えないのである。
また肉食動物たちは、ふだん何を食べているのだろう。ドーナツ? そんなわけがない。
それもあって7点。キレイごとは嫌いだから。
肉食はなんのメタファーだろう。
食卓にならぶ肉や魚、野菜も、ほぼ全部が命である。
「生きるためじゃなく、食べる快楽のため、動物殺して何が悪い」が人間の本音。この映画のスタッフの毎日、観客の毎日だと思うんだが(私を含めて)。だから映画の根本に違和感がある。キレイ事は嫌いだ。「偏見の目で見ないで」と訴える人だって、いろんな偏見で世の中を見てるし、他者を差別してるものだから(責めるつもりは全くない)。
人参ペンが三度出る。小道具の使い方が上手い。
ラセターは、デザインした人に特別ボーナスを出したかもしれない(妄想)。
とてもよくできた映画だが、好きなキャラが一人もいない。だから7点。
【変更】7点から8点に変更する。主人公の二人が、イイ奴だから。