2.《ネタバレ》 またしても、アメリカ映画界の「力」を思い知らされた。
若草物語はアメリカのみならず世界の文学史に於ける文学作品の代表作だ。
その古典とも言える作品を巨額の制作費用を投じ、旬の俳優陣を大量投入、とどめは新進気鋭の女流監督に作品を任せる。
そして完成した作品は見応えのある一級品の作品に仕上がっている。
これだけの事を成し遂げられるのは今やアメリカ映画界しかないのでは。
■キャスティング:考え得る限り、今時点で最高のキャスティングと言える。
シアーシャ・ローナン・・・只でさえ女流作家が大成するのは難しい時代に、自分の志を貫く事を決めながらも揺れ動く心情を繊細且つ大胆に演じられるのはこの人しか考えられない。「レディ・バード」繋がりのキャスティングだとしても、アカデミー主演女優賞ノミネートも納得の演技。これからが本当に楽しみだ。コロコロ変わる表情を追いかけるのが何とも言えず、ハッキリ言って全くタイプでは無いのだが本作を通じてファンになってしまった。
フローレンス・ピュー・・・嫌われ者的役割を見事に演じている。この人の演技をしっかりと観たのは本作が初めて。確かまだ数本しか映画には出ていない筈で、これだけの芯の有る堂々とした演技をする女優さんをよくぞ見つけてきたと思う。末娘を演じるには少々貫禄が有り過ぎる気もするが、アメリカ映画界の底深さを改めて痛感した。
ティモシー・シャラメ・・・ルックスだけの俳優かと思っていたが見事に裏切られた。世界中で絶賛されている事も納得。
他、主役級の俳優さんが要所で皆いい演技を見せている。 出番は少ないがクリス・クーパーがあの様な押さえた渋い演技が出来るとは意外だった。
ローラ・ダーンが居ると画面全体が引き締まる。稀有な女優さんになったと思う。
■脚本・演出:凝っているが判りやすい。映像の力を感じる。
時系列が入り乱れる構成は得てして判りにくい印象を得がちだ。ましてや本作はわずか7年の違いしか無く、登場人物皆が極端に外観が変わる程の年月の開きはは無い。 それでも混乱する事無く物語に没入出来るのは微妙に色調を変えた映像とカット割りの上手さから来るものだろう。
若い女性が大挙出演する様子を観るのは男として眼福でも有るし、原作小説のファンの方や過去映像化されたアニメや映画に触れた経験が有る方にも、
現代の解釈も交えエネルギッシュに映像化された本作を強くお勧めしたい。
良作です。