1.《ネタバレ》 スターウォーズ(1977年)が翌年に夏休み映画として日本に上陸する直前、GWに公開された作品。当時、テレビで特番が放送され、私は映画館で観ました。子供心に「宇宙空間で、酸素マスク程度で生きられるの?」など突っ込みどころはありました。しかし主人公達が、リアベの実の【無言のメッセージによる説得】で一つになっていく過程には、素直に感情移入できました。また【地球軍とガバナス軍との戦闘下で、ジルーシアの人達が犠牲になる/ハンス王子のように、ガバナス人全員が悪ではない】といった描写も印象に残りました。特撮も頑張っていると思ったものです。その後、スターウォーズを見て「本家には叶わない」と打ちのめされましたが…。
あれから40年近く。たまたまDVDで見る機会があり再見すると…オープニング曲を聴いて映画館での真直ぐな気持ちが蘇りました。要塞化した惑星ジルーシアが月を爆破する場面は【本家】の「デススターによるオルデラーンの爆破」と重なるなど、真似と言えばそれまでですが「エッセンスを上手く活かした」とも言えるシーンの数々に感心しました。また、リアベの勇士達は、必ずしも全員が戦士として活躍するわけではありません。しかし深読みすると「歴史は傑出した人物だけが作るのではない。『わいらみたいなもんでも/私のようなロボットでも』と思う者どうしが、何かしら影響し合い、時代のうねりを作り出す」というメッセージが込められているのかな…と思ったりしました。特撮にしても、東映のSFものは「リアルさは二の次にアクションを見せる/セットも作りものっぽい」が、良くも悪くも伝統のように思います。それはスーパー戦隊シリーズ等にも現れていると思います。そのため「やはり当時の糸釣り特撮としては頑張ったよ!」と、ひいき目で見てしまいました。ただし、現実の歴史や世界情勢と重ね合わせると複雑な気持ちにもなりました。映画は、主人公達が新天地を夢見て旅立つところで終わります。しかし発見した惑星に先住民の人達がいて対立し、銃を持つジルーシアの人々が第二のガバナス人のようにならなければいいが、と願いました。まあ、架空の話なので、そこまで考える必要はないかもしれませんが…。
さて、採点ですが…スターウォーズの便乗企画ではありますが、深作ファミリー及び、矢島信男氏率いる特撮スタッフが一丸となって完成させたパワーに敬意を表し、大甘で8点を献上します。
*令和2(2020)年12月27日(日) 追記
上述のテレビ特番を観ていたとき、傍らで母が「あの志穂美悦子さんがお姫さま?」と苦笑したのが、当時、子供だった私には腑に落ちませんでした。私にとって、志穂美さんをしっかり認識したのが、このお淑やかなエメラリーダ姫だったからです。
そして、約1か月ほど前、私の中で当作品のブームが来まして…インターネットで調べたのを機に、志穂美さんの初主演作である【女必殺拳シリーズ:1974・75年】を鑑賞。これを観ると、確かにエメラリーダ姫が【本領】を発揮したら、ハンス王子(千葉真一さん)と二人だけで、ガバナス帝国を滅ぼせたかも…とは思いました。現在は【ディズニープリンセス】がそうであるように、活発な女性像がメジャーになっていますから、もし当作品がリメイクされるとしたら(笑)、エメラリーダ姫も大立ち回りをすることでしょう。ただし、そうだとしても、志穂美さんを越えるアクション女優はいるかなぁ…。