4.《ネタバレ》 このシリーズは映画もテレビも見たことないので、初見となった。
70年代のSFが面白いわけないだろうと思っていたが、意外と楽しめたというのが正直な感想。
冒頭以外には、敵の宇宙人も登場せず、銃を使って撃ち合うこともない。
ストーリーは哲学的な内容で溢れており、現代ではなかなかお目にかかれなくなった、ある意味で斬新かつ新鮮なSF作品と感じられた。
「スター・ウォーズ」のようなエンターテイメント性、「エイリアン」のような神秘性、「未知との遭遇」「2001年宇宙の旅」のようなテーマ性を兼ね備えた作品に仕上がっており、ユニークかつ深いと感じられる。
その“深さ”も、一般人が楽しむことのレベルであり、理解できない難解さではないということも好印象だ。
本作をみて「機械ですら創造主を知りたい」と願うのならば、「炭素ユニットである我々も当然創造主を知りたいと願うのではないか」というようなことを考えていた。
宗教的な見地からも深みや面白みを感じられる。
深く考えれば、「人間と機械との違い」「人間とは何か」「人類の進化」という点まで広がる。
機械とは異なり、人間は非論理的であり、感情的であり、愚かなのかもしれないが、そうだからこそ、色々と何かを想像・創造して、幸福に生きることができるのかもしれない。
エンタープライズ号のクルー同士の微妙な関係も面白い。
はっきりしたことは本作では何も描かれていないが、「過去に何かがあったのだろう」と想像力が膨らむような作りになっている。
カーク船長も完璧な人間ではなく、ある意味では不完全な船長だ。
“機械”ではないので、不完全であることは当然なのかもしれない。
ただ、なかなか始まらないのでDVDが壊れているのかと思ったくらいに映画がスタートしないのは驚き。
いよいよ始まっても、序盤のスローな展開は異常。
エンタープライズ号にはそれほど興味が全くないので、ただの宇宙船を延々と映されたシーンが続いた際(ファンにとっては最高のサービスだと思うが)には、「これは絶対に寝るな」と思ったが、序盤を乗り切れば、あっという間にこの世界観に引きずり込まされる。
宇宙の神秘というか、宇宙の奥深さを感じさせるようにもなっており、ミッション終了後にカーク船長が宇宙に旅立つ前から、無性に「冒険に行きたくなる」ようにもなっている。
ファンが多いのも納得といえるデキといえる。