32.《ネタバレ》 - Easy Rider - 直訳だと“気ままなバイカー”なんだろうけど、スラングで“簡単に乗せる(ヤラせる)ヤツ”みたいな意味のよう。 物語の大半はアメリカ南部を2人が走ってるシーンとその美しく広大な風景。停めさせてもらえる宿もなく焚き火を前に語り合うシーン。意外と長いのがLSDで飛んでるシーン。 大金を手に入れたワイアットとビリ―。時計を捨てて旅立った先の初日の朝。目に入るのは枯れ木、錆びたトタン、廃屋、廃車…荒廃した文明を後目に、自由な生活、自然との共存を求めたんだろうか。 納屋の工具と食事を世話してくれたカウボーイ(農夫か)の生活を「いい暮らしだ」と認める。ここの馬に蹄鉄を付けるカウボーイと、バイクのパンクを直すライダーの対比が綺麗。 更に無秩序なヒッチハイカーのヒッピーコミューン。「彼らは何とかやり遂げるさ」と、雨の降らない荒れ地に種を蒔く彼らも否定をしないワイアット。ここでヒッチハイカーがビリーを仲間に入れない理由は何だろう? 保守的な町は長髪の彼らを受け入れない。若い女は自由を謳歌している彼らを憧れの眼差しで見る。それが気に入らないと言わんばかりに、聞こえるように悪態を吐く街の男たち。自由の国を謳うアメリカは自由を恐れて保守的な暮らしに安堵し、それを守るために平気で暴言を吐き、暴力を振るうことも厭わない。 マリファナを吸ってジョージが語る「自由に対する恐怖」こそが当時のアメリカの真理であり、この映画の伝えたいことに思える。自由を求めつつも、自由を手に入れた者を怖がる。“人間の価値は死んだ後に定まる”日々神を称えつつ、死を恐れるように。 ジョージの死後、今までの質素な食料と打って変わって高級な料理を食べて、自由恋愛でなく娼館で女を買う。マルディ・グラの祭りは、撮影でなく本当の祭り会場で撮ったんだろう。だから小さいカメラで撮ってあの画質なんだろう。そしてナチュラルなマリファナでなくケミカルなLSDでぶっ飛ぶ。 安直な解釈だけどtrip(旅)とtrip(幻覚体験)を等価値に描こうとしたから、このシーン長いのかな?なんて。 ビリーの「俺たちはやったぞ、金持ちだ!フロリダで隠居生活だ」に対しワイアットは「失敗だ」とだけ。 ここ、自由な生活と自然との共存を求めつつ、文明に安堵する自分たちに対しての「失敗」なんだと思う。 ワイアットの求めた終着点と、ビリーの描いた終着点の違い。 有名作品なので考察とかは沢山あるだろう。私にもよく解からない内容だったので、今回観て思ったイメージ通り書いてみた。 【K&K】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2022-10-15 11:51:40) |
31.《ネタバレ》 さァ、いきなりネタバレだ。主役の二人は、ラストで銃殺される。田舎者のおっさんたちから、理不尽に銃殺される。理由は「髪が長いから」「何者か分からんから」。こんなの日本じゃありえないよな。って違うな。日本社会そのものだ。だって日本社会でのベストは、「考えるな」「ルールに従え」だから。なんて考えていたら、「たぶん世界中どこも同じ」と思えてきた。なぜなら、脳は世界中でみんな一緒だから。それに人間の脳は、十万年、全く変わっていないんだってさ。 【激辛カレーライス】さん [DVD(字幕)] 8点(2015-11-05 13:16:14) (良:1票) |
30.《ネタバレ》 アメリカンニューシネマの代表作。ぶっちゃけ他の映画と何が違うかっていうと、主人公が最後死んじゃうっていう、当時としては、異色だったものがブームになったということ。マネしちゃいけません。でも若いうちに一度は憧れる、こんな人生。「ボーン・トゥ・ビー・ワイルド」に代表される様々な楽曲は今でも古さを感じさせないパンチがある。初めて観たときのピーター・フォンダの恰好よさは今見ても変わらない。デニス・ホッパーは私の見た限り、唯一の長髪だったせいか、あまり印象に残らなかった。ラストシーンはヒッピー時代の終わりを表しているのだろうか?映画史に残る名シーンだと思います。 【クロエ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-05-25 19:40:24) |
29.60年代末から70年代が幕を開ける頃のアメリカ。ベトナム戦争の泥沼に陥ってた頃。 アメリカン・ロードムービーの定番、夜のたき火を囲んでの語らい。その中のジャック・ニコルソン演じる一風変わった弁護士の台詞。「アメリカは自由を証明するためなら殺人だって平気だ」が強烈。この頃のアメリカと、今のアメリカ。何が変わったのか? 見る前は“born to be wild”が鳴り響く中、バイク野郎どもが中西部を行く豪快なロードムービーというイメージがあった本作ですが、公開当時のアメリカでは物議を醸した作品だったのではないでしょうか。デニス・ホッパーの本当の自由とは何か?そしてアメリカを憂う彼の思いが吐き出されているような作品でした。 【とらや】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-11-11 00:15:33) |
28.《ネタバレ》 タイトルだけは良く知っていたが、これまで縁の無かった作品。つい先日デニス・ホッパー氏が亡くなられ、追悼番組で初めて観賞。自分にはズシーンと響きました。南部のお祭りを見物に行くことを目的としたロードムービーで、その目的自体に大した意味はないけれど、道中で遭遇するエピソードの羅列の中に現代でも色褪せないメッセージが潜んでいる、気がする。「ドラッグ」「自由の意味」「排他的南部気質」が主なテーマのようだった。特にジャック・ニコルソンが語る「自由」に関する講義にはびっくりした。現代の誰かがそのまま口にしても通用する。60年代の邦画と比べるとずいぶん垢抜けて見える作品だけど、見映えよりも台詞内容の普遍性に驚きました。余所者を疎んじる体質とは米国南部の気風というより、土地に縛られている精神の不自由と解釈しました。で、彼らが自由だったかというと、ピーター・フォンダの「失敗だった」という台詞が短く結論付けています。当時でいうところのヒッピーに成りきれず定職も持たない彼らは、自由という気分の中を気ままに泳いでいたが、どこにも辿り着く岸辺は無かった。それは自由ではないらしい。本作は、主人公たちも含めて「自由の国」の不自由を描いたことに意味があったのだろう。当時の日本人の観念とは違う尺度で自由を計っていたように思えて、それなりに衝撃的だったと想像できる。自分も若い頃に観ていたら、ちょびっとだけ人生が変わっていたかも…。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-06-21 00:23:57) (良:1票) |
27.主人公二人が何を求めて突っ走っているのか分からないのがいいような、そうじゃないような感じ。フォンダの「失敗だ」と旅を振り返る言葉もなんだか納得がいく。途中マリファナの映画になったり、訳のわからん映画になってるが、その合間に、「ついてこれなかったら音楽聞いてな」とでもいうように名曲が入っているので退屈はしない。「ザ・ウェイト」が大好きな曲なので、流れたとき泣きそうになった。主人公たちにはあこがれも共感もあんまり感じなかったのだが、これが世代の差なのか。しかし、行き場のない自由というのはやはりみていて切なかったように思う。ラストはなんともあっけないので「終わりかよ」と唖然としたが、60年代の「自由」の行き着く先としてふさわしいような。それにしても、悲惨な死に方をしないニューシネマの主人公っているんだろうか。 【ジェイムズ・ギャッツ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-09-25 16:19:26) (良:1票) |
26.若い頃初めて見たときは、前半のあまりにゆるい展開についていけなかった。それでも、ジャック・ニコルソンが出てきてからの急な展開に、ただただ圧倒されていた記憶がある。 歳をとってから見返してみると、若い頃にはつらかった前半部分のゆるさが、むしろ心地よい。根無し草の悲哀が実に見事に描かれている。後半の衝撃は今も変わらない。 自由な国アメリカの「不自由さ」を告発するその勇気。このメッセージは今の時代でも、なぜか色あせていない。 【いのうえ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-01-04 00:17:32) |
25.ストーリーらしいストーリーなどほとんどない、まさにアメリカ横断バイクの旅ってな感じの1時間半。しかし何なんでしょう、この妙にヒリヒリする感じは? 序盤でワイアットとビリーは腕時計を投げ捨て、何者にも縛られない自由の荒野へと飛び出していく。しかし何故か、どこか満たされない。彼らは自由になったはずなのに。一体彼らが求めていたはずの自由とは何なのか。観ているこっちがそう悩みだした時にJ・ニコルソンが暴く「自由」の正体には思わず唸らされ、そして打ちのめされる。自由とはこんなにも素晴らしく、そして恐ろしいものなのか。 【とかげ12号】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-04-18 22:23:15) |
24.音楽がなんとも良かった。最後はショッキングだったが、なんかスッキリした映画だった。麻薬密売で葉っぱ吸いながら旅を続けて生き延びてたらおかしいもんね。「アメリカ人は自由を証明するためなら殺人も平気だ」という言葉には、イラク戦争のことを思い出してしまった。なんでもヤル国だと改めて思った。好きだった台詞は「腎臓を喰おう!途中で落としたから…」ホルモン焼肉屋で食事するときに使えると思った。全体的には当時をアメリカを象徴していたと思うしシンプルながら衝撃的でいい映画だった。 【ジョンレモン】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-11-23 14:02:09) |
23.《ネタバレ》 案外楽しかった。車に揺られて窓に流れる風景を眺めているのは嫌いじゃないので。広い道路と真っ青な空、障害物のない開けた風景がすがすがしく、バイクは乗らないがその快感の一端ぐらいは感じ取ることが出来た。無限に色彩を変える空を眺めていると、自分がゼロになっていくような爽快感がある。その快感に二人のライダーは求めていた自由を見た気がしたのだろう。 しかしワイアットはどんなに走っても満たされない自分に気づく。「大金があって、しかも自由だ」と無邪気にはしゃぐビリーに、「それでも、ダメなんだ」とつぶやくワイアット。保守的な田舎者連中が正しいとは思っていない。かといって、麻薬に溺れて放浪する自分たちが正しいとも思えない。 人が進化して一段上の社会が訪れるという、あまりにもちゃちなヒッピー思想。理想社会に憧れた連中は虚ろな目つきで砂地に種を蒔き、誰もが平等に暮らす「金星人」は地球人の前に姿をあらわそうとしない。現代社会に失望して輝かしい理想を掲げるが、けっしてそこに行き着くことはない。 二人は外見は怖いが、ある意味では純粋すぎるくらい純粋だ。最後に吹き飛ぶバイクの無残な姿は、現実に押し潰される理想と重なって見えた。 【no one】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-11-18 15:42:21) (良:1票) |
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22.主人公の退廃ぶり、と言っても、最近のバイオレンスものなどに比べると、まだのんびりしてお行儀がいい感じがしました。それにしてもアメリカは広い。ロードムービー好きにはお薦めです。69年といえば、ヒッピーや公民権運動が華やかなりし時代ですが、今はそんな頃を知る人も少なく、時代の壁を感じます。 【Hesonashi】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-08-29 23:39:50) |
21.この映画に求めるもの。バイクと音楽。他に何がいる?麻薬の描写があまり好きじゃないのでそこがマイナス。 【べんちゃんず】さん 8点(2004-10-30 01:09:06) |
20.「以前君はヒッピーに憧れ旅立ったくせに、彼らの最終系は自殺だなんて云うし、」と云う文句を思い出す。と云うか、これがイージーライダーにむけて書かれた詩だけど。私の子供達を殺さないで、と云う気分になったのはなぜ? |
19.《ネタバレ》 虚無感いっぱいの映画。「アメリカ人は自由を証明するためなら殺人も平気だ」という台詞はベトナム戦争への皮肉か?娼館の「人の価値は棺を覆って初めて定まる」の文字に対して、棺の中に入らずに、道路脇で火葬したジョージの映像を入れるシーンはうまいね。主人公達が社会に対してムーブメントを起こさず、ただただ体制を拒否し、そして、虫けらのごとく殺される、そんなどうしようもなくあっけない生を描いたことが本作の最大の魅力であると思う。 【はざま職人】さん 8点(2004-07-07 23:46:45) (良:1票) |
18.自分もバイクでアメリカ横断をしているような気分になりました (やや大袈裟ですが)。 哀しいラストの余韻が観終わってからもしばらく続きました。 【しまうまん】さん 8点(2004-06-13 01:37:01) |
17.自分が絶対に腕時計をつけない理由? そんなもの、ガキの時にこの映画を観たからに決まってるじゃないか。 【永遠】さん 8点(2004-05-25 14:07:07) |
16.もう、なんとゆったらよいのか「不条理」という言葉にいろんな意味で弱い私はラストが痛くて痒くて嗚咽でした。こんなことがあっていいものかと思うが、実際の世界では映画で見る頻度以上に不条理なことはあるし。この不条理さはやっぱり反逆精神を持ったものにしか作れなかったろうと思います。デニス・ホッパーにはこの映画の精神のまま大成してほしかった。ハートに火をつけて、みたいな下心映画を作って欲しくなかった。但しクッパはよしとする。 【らいぜん】さん 8点(2004-03-10 18:09:56) |
15.《ネタバレ》 映画創りとしては、技術面において甘い部分がある上に、ストーリーもかなりメチャクチャのようにも見える。しかし、言わんとしていることが熱意をもって伝わる、観た人に対して多くの影響を与えることができる「象徴的」な作品であることは間違いない。そういう意味において、高得点を与えたいと思わせる作品だ。 「自由」とは何か、アメリカは果たして本当に「自由」な国なのかという叫びと、人々の「自由」に対する羨望と嫉妬が痛々しいまでに伝わってくる。 ニコルソンが、マリファナ(本物らしい)をやりながら、宇宙人の話をしていたと思うが、まさにワイアットとビリーの二人は、周囲の人々からみれば宇宙人なんだろう。 誰しも、その概念を知っているものの、誰もその存在を認めようとしない。認めてしまえば、既存の体制や自らの価値観に混乱が生じ、パニックになってしまうから。この宇宙人についての会話が「自由」とリンクする。人々は自分が「自由である」と感じているから、本当に「自由」な人々をみると、自分が「自由」ではないことが分かってしまう。その恐怖に怯え、自分たちが「自由である」という価値観を正当化するために、その「自由」な存在を否定しようとするのではないか。 したがって、そんな理不尽な嫉妬のおかげで「自由」であるはずのワイアットとビリーも「自由」ではない。金はもっていても、モーテルに泊まることも、レストランで食事を取ることも、パレードに参加する自由もない。最後には、道路をバイクで走る自由さえも奪われてしまった。もはや、アメリカは偽りの「自由」を維持するあまり、本来の「自由」を殺してしまったのだろう。そして、金、しがらみ、常識、人間関係に束縛される現代の人々も、「偽りの自由」しか知らない。我々はもはや真の意味において、「自由」に生きることはできない。そういう意味に おいて、もはや本当の「自由」は死んだのではないか。 「自由」に対するこの映画での答えが、閉鎖的ながらもコミューンか、人里離れて家族でひっそりと暮らすことなのかもしれない。人里離れて暮らすことは大地に根を張った生き方である。コミューンは大地に根を張った生き方ではなく、砂地に種を蒔くようなものかもしれないが、その種はいつか育つかもしれないという期待を込めているのではないか。 【六本木ソルジャー】さん [DVD(字幕)] 8点(2004-02-22 02:39:16) |
【k】さん 8点(2004-02-03 15:29:15) (良:1票) |
13.ホッパーとフォンダの二人が、アメリカの「恥部」を暴き出して批判したのと同時に、自己批判まで展開させてしまったかのような作品。 演劇青年ジャック・ニコルソンも、初々しくて良い。 |