11.《ネタバレ》 今まで見た戦争映画の中で一番迫力がありました。プライベートライアンの冒頭シーンよりも、こちらの方が殺しあう敵の顔がはっきり見えるという点で上です。
戦争の悲惨さを描く場合、罪の無い非戦闘員が殺されていく場面が強調されることが多いんですが、きちんと規律を保った正規軍同士の戦闘でも悲惨さになんら変わりはないことを訴える映画だと思いました。
兵士たちだけではなく、待っている家族をもちゃんと描いているのも秀逸ですね。黒人の将校の妻に電報が届くところで少しホロリと。
この映画とプラトーンや地獄の黙示録を比較すれば、どれほどベトナム戦争というものが、アメリカ社会のみならず実は戦ってる軍隊そのものを変質させ傷つけていったかということも理解できると思います。
本当に久しぶりに見て、他の方のレビューを読んで少し。
現在、世界が民主主義、基本的人権を重んじる国家群と、全く反する国家群に二分され、後者が優勢な時代から振り返れば、結果としてボートピーポーを生み出し、現在でも「政府が言論・結社・報道・信仰など人民のあらゆる基本的自由を制限しており、刑事司法は政府からの独立性に欠け、警察は自白を引き出すために拷問を多用するという人権侵害が極めて深刻な国であることを報告している」国家をひいきし、当時の南ベトナム政府がどれほど腐敗して、どうしようもない政府であろうが、基本的に我々と同じ側に立ち、そのためにと信じて死んでいった人々に対して全く敬意を持たないというのは異常ではないかと思う。
少なくとも、現在のベトナムがああいう政体の国家になってしまったことが残念な結果であり、それを防ぐために何が必要であったかという視点をもうそろそろ持つべきではないだろうか