13.《ネタバレ》 この作品から伝わってくるもの、それは人間は如何に情報という物に頼って生きているか。しかもその情報が誤っていたりした結果によって悲劇的な結末を迎えてしまうがそれは誤った情報を信じる自分自身によって起こることの恐さ。色んな意味でこの作品から伝わってくる恐さを老夫婦の姿から感じることが出来る。情報を頼り過ぎてはならない。だからといって情報を頼らないで何が出来る?核戦争の恐さと情報による恐さとを描いた作品として一度見たら忘れることは出来ないぐらいとにかく強烈な印象を与えます。喉が乾いても何も飲み物がない時、見つけたたった一つの小さな飴を分け合う二人の姿に人間としてあるべき姿が感じられます。この作品を見て何も感じないようでは人間失格と言っても良いぐらいの力強いメッセージのある作品です。 【青観】さん [DVD(吹替)] 8点(2012-12-01 11:03:03) (良:1票) |
12.《ネタバレ》 主題は「核の恐ろしさ」なんだろうが、個人的にはむしろ「無知・不勉強の恐ろしさ」の方を強く感じた。 ■はっきりいって、前半の夫婦のやりとりはギャグにしか見えなかった。扉外してシェルターとか作っている段階であれは「秘密基地ごっこ」と同一地平。あれは「無垢」というよりは「無知」でしかない。もっとも、「アトミック・カフェ」などを見ると、こういうのが案外普通に信じている人が多いのかもしれないが。 ■そして被爆地にとどまり続け、結局放射線障害で死ぬ(のだろう)。ほのぼのした彼らの生活はしかし、恐ろしいというよりも無頓着という印象がぬぐえない。無知であることは時に自らの命をも奪う。「目で見ればわかる」というのは近代以前であり、現在は科学も発達し見えないところにも悪魔は潜んでいるようになった。そうした悪魔は「無学」の頭に住み込んで彼らを内から蝕んで殺す。我々には無知でいる権利はない。 【θ】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-12-07 23:58:56) |
11.原作を読んだのがこの映画の公開1年前で、原作を読んで泣いちゃったクチです。 夫婦二人に人物を絞ることによって核がどういうものなのかというのを端的に現した良作で、アニメーションだから気楽に見れると考えた反面、その、観終わった後の反動も大きいんだよね。「はだしのゲン」に大きく衝動を受けた一人としては、この映画はそれに匹敵する反核作品だと思います。 【奥州亭三景】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-11-22 12:43:21) |
10.原作の持ち味を生かしつつ、美しく映画化されていた。核戦争の恐ろしさという意味では、絵本の方がよりシビアに表現されていたが、見えない死に神の恐ろしさを伝えるには十分な内容だと思う。はだしのゲンやらその他のグロ描写ありの原爆絵本等を幼少時に見てトラウマになった人(私もその一人だ)にとっては、ちょっと綺麗すぎないか?と思えるかもしれない。でも、より悲惨でリアルな被爆描写を知っているからこそ、一見穏やかに過ごしている老夫婦の無知さに背筋が寒くなる感覚がチリチリと骨身に伝わる気がする。世界の核保有国の全国民に見て欲しい映画。 【lady wolf】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-09-16 11:48:18) |
9.怒られそうですが、ある意味、ハッピーエンドではないでしょうか。 もし原爆症に詳しかったとしたら、残された時間はもっと残酷だったかもしれません。 「明日になればなんとかなる。」 人間がいかんともしがたい災害にあった時の姿勢としては理想的だったのかも。 【ぱふ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-08-10 19:02:31) |
8.核戦争の恐怖を、いち夫婦の視点から丹念に描いた作品。 この夫婦は、爆風や熱線による一次被害をなんとかまぬがれた後も、 実体のつかめない恐怖に晒されることになった。 淡々とした雰囲気のなかにも、核攻撃ののち夫婦が破滅に向かっていく過程が 誇張ではないリアリティを伴って描かれており、 これを観たときは、寒気がするほど恐ろしくなった。 絵柄に似合わず、これは今までに観たどんなホラー映画よりもヘヴィーで恐ろしい。 この作品が出た頃は、東西の冷戦に加え、チェルノブイリ原発事故が 起こった後ということもあり、世間は大いに反応したらしい。 核の恐怖がアニメで平易に表現された、ポピュラーな反戦映画として意義深いと思う。 しかしアニメとはいえ内容は相当に残酷なので、R-15くらいでもいいと思う。 【且】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-07-26 10:07:40) |
|
7.《ネタバレ》 核戦争の恐怖を描いた映画の中で私にとってもこれがベスト。死の灰によって命失われる老夫婦の最後を描いたこのアニメ、原作が「さむがりやのサンタ」「スノーマン」のレイモンド・ブリックス=明るいパステルカラーの絵柄の特徴の彼が黒や茶色の線を多用し、日常の平和な生活がだんだんと蝕まれ老夫婦の体が衰弱してゆく様子をただ淡々と描いているのだからインパクトは凄い。もともと核戦争の恐怖が取りざたされていた1982年の出版とはいえテロや戦争が絶えない今現在でもこの映画の印象は変わらないはず。点数でいえば絵本の方が凄すぎたのでちょっとパワーダウンするのは仕方が無いか。小学校の時トラウマになった友達、私の周りにも結構いました。それでも必見でしょう。 【Nbu2】さん [映画館(邦画)] 8点(2007-08-18 22:52:39) |
6.核爆弾の事について何も知らない人の所に核爆弾を落とされたら・・、、という話。「死の灰なんて見えないわよ」、「雨水を貯めとけば大丈夫だな」。何も知らなければ、こんな事を言ってしまうのは当然。核爆弾というものは全てを破壊し、環境も壊してしまう。原作の絵本の画はジルとヒルダの変化が克明に描かれているので映像で見るよりさらに怖い。哀しいラストですが、核爆弾を落とした為に、罪のない人が死んでいくのが一番怖い。原爆が主題、ということで避けられがちかと思うんですが、こういう映画があるという事をみんなに知ってもらいたい。 |
5.ある日立ち寄った本屋でこの映画の原作絵本を見つけ立ち読んだ。すると、幼い頃この映画を観た時のとてつもない恐怖がありありと浮かび上がってきた。観たとき私は6歳とかそれくらいだったと思うが、あまりの怖さにその夜布団の中でひとり震えていたのを思い出す。これほどまでに哀しく、怖い戦争映画は他にない。見なければならない。この物語を世界中の人が知らなければならない。 【鉄腕麗人】さん [地上波(吹替)] 8点(2004-02-10 12:05:56) |
4.世界中の人が、きちんと観なければいけない類の映画。そして、作品自体の時間の何万倍もかけて、その意味するものを考えなければならない映画。 【ひのと】さん 8点(2004-01-05 20:42:16) |
3.森繁久彌、加藤治子の吹き替えで観ました。「ザ・デイアフター」とかと同じ類のテーマですよね。老夫婦の愛情ある生活と、政府を疑わない(まるでジョージ・オーウェルの「動物農場」に出てくる馬のボクサーのような)態度が、かえって悲劇を印象づけています。お互いを気遣いながら、どんどん放射能に冒されていく描写は、淡々としているだけに、かえって胸に響きます。 こういう皮肉とカタストロフィの描き方は、やっぱりイギリスという民族の国民性にあるような気がします。 【オオカミ】さん 8点(2003-12-01 06:33:29) |
2.小さい頃、父親に連れられて市民会館で観たのをかなりはっきり憶えている。アンパンみたいにまん丸な二人が、放射能の影響で痩せ衰えていくのは本当に恐ろしかった。政府の垂れ流す放送を信じ、愚かしくも見える準備を進める老夫婦の悲惨さを理解したのは、何年経ってからだったろうか。この映画を今こそ、世界中でリヴァイバルしてほしい。戦争が何をもたらすのか、その時自分達はどうなるのか。 【山岳蘭人】さん 8点(2003-11-18 21:25:59) |
1.色も臭いも無い「殺人兵器」が、とにかく淡々とした平和な日常に突然入りこんでくるという恐怖をじわじわと描いた秀作です。絵柄が優しくて穏やかなだけに尚更見終わった後いつまでも心に残り、日々命の危険にさらされることなく美味しくお茶が飲める、という事がいかにあたりまえでない・・かという事を実感させてくれます。 【Rei】さん 8点(2003-09-21 09:05:47) |