4.《ネタバレ》 香港恋愛映画の傑作。
飾り気のないシンプルなストーリーに、ベタな展開。
だけど、ツボはしっかりおさえている。
イー・トンシン監督の確かな手腕を感じ取れる素晴らしいラブ・ストーリーだ。
ラストは悲劇として幕を閉じる。
が、しかし、それは決して後味の悪いものではない。
愛する者同士は、いくら愛し合っても、いつかは死によって別離せざるを得ない。
そんな二人にとって一番大事なことは、どれだけ純粋に、そして真剣に相手を愛することができたか?ではないだろうか。
その点において、本作の二人は互いを真剣に愛していた。
別れるには早過ぎたかもしれないが、一瞬一瞬がとても輝き、幸せに満ち溢れていた。
あの無邪気にはしゃぐ二人の笑顔が忘れられない。
短い時間でも二人が一緒に居られ、互いを真剣に愛することができたならば、二人の心の中にはきっと美しい思い出が残るに違いない。
それよりむしろ、この取り残された男からすれば、彼女が死ぬ前に彼女と出会えたことが幸せだったと考えることもできるのではないだろうか。
そして、この女性は、独りで死ぬことなく、死ぬ前に自分を本当に愛してくれる彼と出会えて良かったんじゃないだろうか。
そういう風に別の角度から二人の人生を考えてみると、単純に悲劇なだけのお話だとは言えないんじゃないだろうか。
男と女にとって何が本当に幸せか?
それを観る者に鋭く訴えてくる含蓄のあるラブストーリー。
香港恋愛映画の奥深さを垣間見ることができた作品であった。