3.《ネタバレ》 1対73の対決がラストで炸裂!
動きのある対決シーンも勿論見事だが、何と言ってもロケーションと、その演出が飛び抜けて良い。
下り松とやらの大木が、田んぼの真ん中にそそり立っている。
それを早朝明け方の薄暗い映像で見せる。
戦いの火蓋が落とされる前の緊張感。
このモノクロめいた、明け方の映像から滲み出る緊迫感の演出がとにかく見事!
陽が昇る前の静けさと不気味さ、戦いの前の緊張感、暗がりにそびえ立つ下り松の不気味な迫力、そして武蔵の鬼気迫る眼光。
いやはや、このラストシーンは内田吐夢の並々ならぬ気合いを感じ、観ているこちらにもその気合いと緊張感がビシビシと伝わってくるシーンだった。
時代劇映画の中でも屈指の傑作であることは間違いない。
(P.S.)
高倉健の佐々木小次郎が、なかなかの魅力。
どこかコミカルだが、とてもスタイリッシュでもあり、カッコいい。
「だまらっしゃい!」
これにはシビれ笑けた。
その他、佐藤慶、河原崎長一郎、平幹二朗ら脇役陣も個性溢れる熱演を披露。
ただし、入江若葉は相変わらず気持ち悪かった。