3.《ネタバレ》 日常に倦んだ男の暴走。
暴漢に襲われた女性を助ける、シャボン玉を吹く不思議な女性と出会う、息子と昆虫採集をする。そういった脈絡のない事象の数々が、男の中で予想外の化学反応を起こす。
クロロホルムで眠らせて婦女暴行に及ぶ、という卑劣な犯行ではあるけれど、その一方的な行為の中に、代わりに家事をやってあげる、という、微妙に相手との接点を探るような不思議な行為が含まれており、被害者であるはずの女性が、これまた何故か、誰の仕業なのだろうという関心から、その行為に対する期待が生まれる時、そこには一種の安定状態が生まれる。
安定状態と言えば、男は、犯行の前に出会った二人の女性とも、当初の関係を保ち続け、決して彼女たちには手を出さない。
だったらもう、それでいいじゃないか、と我々に感じさせることを、男はまるで拒絶するかのように、モラルの対局まで、男は暴走を続ける。
最後は男は我々に向かってアカンベーをしてみせ、何も解決してないし何も終わってない、ということを、我々に突きつける。
この映画の持つ、恐るべきパワーとスピード感。恐るべし。
昔はこの作品も民放の深夜放送とかでやってたんですけどね(ボカシが心なしか強めだったような気がしたのは気のせいですかね?)。内容があまりにあんまりなので、ある事件の後で放送が差し替えられてからは、なかなか放送されなくなりました。